「足立区滅びる」に批判集中 自民党議員はなぜLGBTへの問題発言を繰り返すのか

2020年10月9日 20時21分
 LGBTなど性的少数者を巡り、東京都足立区の自民党区議が区議会で、同性愛が広がれば足立区が滅びる、との趣旨の発言をし、批判を浴びている。ここ数年だけでも、少子化に絡み、自民党議員から同様の発言が相次ぐ。なぜ、問題発言は繰り返されるのか。(奥野斐)

◆足立区議発言は「人権軽視」「差別的だ」

足立区議会が入る区庁舎

 足立区議会での発言は9月25日、白石正輝区議(78)の一般質問で出た。少子高齢社会への対応を問い、「L(レズビアン)とG(ゲイ)が足立区に完全に広がってしまったら、子どもが1人も生まれない」「LだってGだって、法律で守られているじゃないか、なんていうような話になったんでは、足立区は滅んでしまう」と述べた。
 これに対し、LGBT当事者らは「人権を軽視している」「差別的だ」などと批判。発言の撤回と謝罪を求めるネット署名も始まっているが、白石区議は9日現在、謝罪していない。

◆「議員の理解足りない」

 自民党議員によるLGBT関連の問題発言はこれまでも度々あり、その都度、非難されてきた。2018年7月、杉田水脈衆院議員が月刊誌に「生産性がない」と寄稿。昨年1月には、現復興相の平沢勝栄衆院議員が、性的少数者について「この人たちばかりになったら国はつぶれてしまう」と発言し、炎上した。
 こうした発言の背景を、自民党衆院議員の政策秘書を務める大河内茂太さん(49)は「議員にLGBTの知識がなく、理解が足りない。同性愛は趣味だからと誤解している人がまだ多い」と説明する。
 大河内さん自身、兵庫県宝塚市議だった15年、市議会一般質問の際、同性パートナーシップ制度の導入に絡み「宝塚に同性愛者が集まり、HIV(エイズウイルス)感染の中心になったらどうするんだ」と発言。批判の電話やメールが何百件と寄せられ、テレビや新聞で連日報道された。「当時は、支持者らから寄せられた声をふまえ、自信満々に話していた。当事者を傷つけている意識はなかった」と振り返る。
 予想外の反発を受け、大河内さんは寄せられた当事者の怒りや悲しみの声に全て目を通した。勉強会を自ら開き、基礎知識から学んだ。「思春期に『自分はおかしいのでは』などと悩み、命を落とす人もいると知れば、少なくとも言い方は変わるはず。今は悪いことを言ったなと思う」と反省しているという。
 その後、市議時代の16年、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」の立ち上げに関わった。党は同年、「正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指す」との基本的な考え方を公表した。
 「同性愛って、ちょっとついていけないなあー。」という言葉から始まる政策パンフレットでは「本人の意思や趣味・嗜好しこうの問題との誤解が広まっている」とし、「このようなテーマについても、目を背けることなく」向き合う必要性を説く。
 28項目のQ&Aでは、控えるべき表現として「レズ」「結婚しろ」なども挙げている。こんなパンフレットがあるのに、なぜ党内に浸透していないのか。

◆優先度上がらず

 大河内さんとともに特命委員会に関わる一般社団法人LGBT理解増進会(神戸市)代表理事の繁内幸治さん(59)は「依然として政策課題としてのプライオリティーが上がらない。『LGBTの課題は自民党が取り組むものではない』との思い込みがある」と話す。
 政治評論家の小林吉弥さんは「個々の議員の認識の差が一番の問題」と指摘。「議員バッジを着けている以上、LGBTの知識や理解は当然持たないといけない。世の中の動向に敏感でなければ、通用しないという認識が必要だ」と強調した。

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