米抜きTPPどうなる? 「11カ国で」明記できず

2017年5月23日 02時00分
 二十一日にベトナムで開かれた環太平洋連携協定(TPP)の閣僚会合では、米国を除く十一カ国が早期発効に向けた検討を始めることで合意しました。しかし、各国の足並みはそろっておらず、実現の道筋は見えません。TPPの今後はどうなるでしょうか。 (矢野修平)
 Q 日本はなぜ、米国が離脱したTPPの発効を目指すのですか。
 A 米国は二国間の貿易交渉を要望しており、そうなった場合に日本は農作物などでTPPを上回る自由化を求められる懸念があります。日本は、十一カ国が結束して協定を発効させれば「TPP以上は譲らない」と米国に反論できると考えています。また、米国が復帰した際の受け皿とする狙いもあります。
 Q ベトナム会合の結果はどうなりましたか。
 A 十一カ国による共同声明は「TPPの利益を実現する価値に合意した」との曖昧な表現にとどまり、日本が目指す「十一カ国での発効」と明記できませんでした。各国の思惑に隔たりがあるため、複数の選択肢を残したままの「玉虫色」の内容となりました。
 Q どのような選択肢が残されたのですか。
 A 米国の参加を重視するベトナムなどの意見を踏まえ、声明には米国の復帰を促す方策の検討が盛り込まれました。また、コロンビアの加入を求めているチリとペルーに配慮して、「TPPを拡大していく将来展望を強調」との一文も加わりました。
 Q 今後の議論はどう進みそうですか。
 A 七月に日本で事務レベル会合を開いた上で、十一月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに道筋を固める方針ですが、各国の調整は難航しそうです。米国以外の参加国からの農作物の輸入増を懸念する日本国内の農業関係者からも慎重な声が上がっており、日本が議論を主導できなければ、TPPは漂流する可能性があります。

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