ヘイトツイート答申案 「被害者救済 不十分」 被害者側、条例運用の改善求める

2020年10月10日 07時16分

市から審査会の判断について説明を受けた後、記者会見に臨む崔江以子さん(左)と師岡康子弁護士=市役所で

 ネット上のヘイトスピーチを巡り川崎市の有識者審査会が九日、ツイッターの書き込み九件が市条例が禁じる差別的言動に当たるとして、市に削除要請や概要の公表を求める答申案をまとめた。三百超のネット被害を市に申し立てた川崎区の在日コリアン三世崔江以子(チェカンイジャ)さん(47)の代理人、師岡康子弁護士は「審査のスピードが非常に遅く、審査会にヘイト書き込みを諮問する市の解釈も狭い。被害者救済としては不十分」と指摘した。(安藤恭子)
 「三百超のツイートや掲示板の書き込みは無責任で、人を人と思わず、日本から出て行け、いなくなれというもの。ネットで被害を受けるというのは、孤独で苦しい。市の条例運用は残念ながら、被害のスピードに追いついていない」
 崔さんは審査会後の会見で、認定について「前進」と受け止めつつ、複雑な思いも口にした。師岡弁護士によると、崔さんはネット上の攻撃に対応してきたストレスから、難聴や頭痛、手足のしびれなど心身の不調に苦しんでいる。
 市も審査のスピードは速めようとしている。審査会にはこの日、新たにブログや掲示板の書き込み五件を諮問。早期の対応を求める委員の意見も踏まえ、十一月上旬を予定する次回会合にも、この五件の答申案がまとまる見通しとした。
 審査会長の吉戒修一弁護士は「先進的な条例の最初の運用だったが、趣旨に沿った結論を出せた」とこの日の答申の方向性を評価。崔さんも「条例の意義が深まるよう市と協議していきたい」と期待を述べた。
 市は今後、ホームページで九件の書き込みを公表するが、概要にとどめる方針だ。「模倣や二次被害(拡散)が起きない配慮」(担当者)として、加害者のアカウント名や投稿日時などは載せないという。師岡弁護士は「ヘイト書き込みは既に引用され、拡散されている。できるだけ具体的に中身を特定し、その書き込みは差別だと本人にも知らせることが、抑止効果になると思う」と述べた。

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