「知られざる」「橋弁慶」を初公開 小平・平櫛田中彫刻美術館で

2020年10月11日 15時06分

初公開された平櫛田中の「橋弁慶」

 晩年を小平市で過ごした近代日本を代表する彫刻家、平櫛田中(ひらくしでんちゅう)(1872〜1979年)による木彫「橋弁慶(はしべんけい)」が、平櫛田中彫刻美術館(同市学園西町)で初めて公開されている。数年前まで同館も存在を把握していなかった「知られざる作品」。弁慶と牛若丸が出会った場面を表現し、ぎょろりと目をむく弁慶の姿が印象的だ。11月15日まで。 (林朋実)
 橋弁慶は、田中が敬愛した彫刻家森川杜園(とえん)(一八二〇〜九四年)の同名作を田中が研究のために忠実に模刻した作品。高さ約二十センチ。オリジナルの森川作品は東京国立博物館に所蔵されている。外部から鑑定のため美術館に持ち込まれたことをきっかけに、田中の孫である平櫛弘子館長が入手し、今年、館に寄贈した。
 森川は、素朴な木彫りの「奈良人形」を芸術の域まで高め、国内外の博覧会などで高い評価を受けた。細部まで彫り込むのではなく、大きな断面でざっくりと彫る手法が特徴。対象の形を簡略化してとらえつつ、写実性も備えた作風だ。
 田中が彫刻家を志したのは森川の死後で、直接は師事しなかったが、戦後に森川の作品を収集して模刻し、研究を重ねた。田中の代表作「鏡獅子(かがみじし)」の衣服は、森川のような面による表現を取り入れ、パリッとした風合いを出している。

森川杜園作の内裏びな=いずれも小平市の平櫛田中彫刻美術館で

 橋弁慶の公開に合わせ、森川の生誕二百年を記念した「森川杜園−平櫛田中が敬愛した彫刻家」展も開催中。田中が収集した木彫のひな人形や根付けなど三十二点に加え、田中による模刻数点を展示している。橋弁慶はその中の一点だ。
 担当者は「森川の彫刻作品を鑑賞することで、田中作品への理解も深まる」と話している。火曜休館、入館料三百円。問い合わせは同館=電042(341)0098=へ。

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