台風19号からあす1年 水害の記憶、写真で伝えたい 常陸大宮・小倉区で300点展示

2020年10月11日 15時23分

台風19号水害の写真の前で当時を振り返る(左から)沼田一美さん、沼田範男さん、黒沢富雄さん=常陸大宮市で

 台風19号から12日で1年。甚大な浸水被害に見舞われた常陸大宮市小倉区では現在も6〜7世帯が仮設住宅に暮らす。その小倉区の主催で10日、住民らが水害当時の様子をとらえた写真展が始まった。沼田範男区長(71)は「水害が忘れ去られることなく被害を見て、防災をどうするか考えるきっかけにしてほしい」と願う。 (水谷エリナ)
 写真展のタイトルは「久慈川・那珂川 水害レポ写真展」。会場の小倉公民館には、地元住民ら約三十人が撮影した三百枚近くの写真が並んだ。
 被写体は、水に漬かった家や山積みになった災害ごみ、炊き出しをする女性、家の敷地に流れ込んだわらなど。浸水した地区を上空からドローンで撮影した動画や久慈川の治水に関する資料なども展示されている。台風14号の接近で雨脚が強まる中、訪れた住民たちは写真に見入っていた。
 市内では久慈川や那珂川が氾濫し、一人が今も行方不明。住宅の全壊は四十八軒、半壊は三百六十軒、一部損壊は百軒に上った。
 小倉区内でも久慈川沿いの家や田畑が浸水。沼田区長の自宅も床上八十センチ浸水し、小倉公民館も水に漬かった。水害から一年が経過した現在、水害前の姿を取り戻したかに見えるが、沼田区長は「仮設住宅で暮らす人もいるし、堤防の復旧工事もまだ終わっておらず、戻ったとは言い切れない」と声を落とす。
 写真展を発案したのは、小倉区に住む写真家の黒沢富雄さん(70)だ。台風通過直後から久慈川沿いの被害状況を記録。今年三月には、講師を務める写真教室「常陸野写真塾」(水戸市)の生徒と那珂市で写真展を開いた。
 常陸大宮市での開催も考えたが、「新型コロナウイルスでできなかった」と黒沢さん。その後、親交のある農家の沼田一美(かずみ)さん(67)らと相談する中で、水害から一年の節目に小倉区で開催する案が持ち上がった。写真集めは、小倉区や周辺区の区長らの協力を得た。
 一美さんは「災害はいつ起こるか分からず、ふだんから備える必要がある。水害の写真を通じて、治水や防災について地域住民と一緒に考えたい」と来場を呼び掛けている。
 写真展は十八日まで。開館時間は午前九時〜午後五時で入場無料。問い合わせは沼田区長=電090(5992)0459=へ。

関連キーワード

PR情報

茨城の最新ニュース

記事一覧