台風19号から1年 奥多摩・日原地区 ワサビ田、復旧は1割

2020年10月13日 07時28分

崩落現場に架けられた仮設道路の前で、台風19号の被害を振り返る日原地区の黒沢庄悟自治会長=奥多摩町で

 東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号から十二日で一年となった。今なお爪痕が残る多摩地区の被災地を訪ねた。
 「以前も大雪や崖崩れで地区が孤立したことはあったが、これほど長期間の孤立は初めてだった」。奥多摩町日原(にっぱら)地区の黒沢庄悟自治会長(63)が振り返る。台風19号で町の中心部と地区を結ぶ唯一の道路、日原街道(都道204号)の一部が崩落。仮設の歩道ができるまで約十日間は山道を迂回(うかい)して行き来し、その後も現場を挟んで車でのピストン輸送が続いた。
 今年五月に仮設の車道ができ、ようやく普段の生活を取り戻した。観光スポットの日原鍾乳洞は再開したが、観光用トイレは修復のめどが立たないままだ。黒沢さんは「高齢の住人が多く、災害時は住人同士の助け合いが欠かせない」と今も気を引き締める。
 同町では特産のワサビも深刻な被害を受けた。急斜面につくられたワサビ田が沢の増水で流され、被害は百四十五カ所で総額約二十三億六千万円に上った。
 このうち復旧したのはわずか一割。重機を搬入できない急斜面では、人力でワサビ田をつくるしかないからだ。復旧を断念した生産者もいるという。町の担当者は「二年後までの復旧を目指し、支援を続けたい」と話した。 (服部展和)

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