木更津の「かずさ屋」鈴木久登志社長 台風被害の千葉支援 落花生焼酎に原料提供

2020年10月13日 07時46分

手作りの味を受け継ぐ、落花生工房かずさ屋の鈴木久登志社長=木更津市新田で

 昨年秋に台風被害を受けた千葉県を支援しようと、全国の信用金庫でつくる「よい仕事おこしネットワーク」の企画で誕生した落花生焼酎「絆華(きのはな)」。熊本県人吉市の酒造会社が開発し、売り上げの一部が千葉県に寄付される仕組みだ。原料の落花生を提供したのは木更津市新田の「落花生工房かずさ屋」。一粒一粒の皮を丹念にむいた鈴木久登志(ひさとし)社長(65)は「これからも地域のために貢献したい」と思いを語る。 (山田雄一郎)
 かずさ屋は三代七十余年の老舗。落花生栽培がさかんな県内で、最も甘みと香りが強い品種「千葉半立種(ちばはんだちしゅ)」を使用。保存料や添加物に頼らず、機械による工程も減らし、手作業での落花生づくりを信条にしている。現在の従業員は妻幸子さん(68)、長男友和さん(37)ら家族を含め六人。
 落花生焼酎の計画は今年初め、館山信用金庫の関係者から打診があった。原材料として皮をむいた落花生の提供を求められたが、手作業で時間がかかり、初めは「ちょっと無理ですよ」と断った。遠い熊本の会社と提携することにも一抹の不安があった。それでも「被災した千葉を応援したい」という企画に心を打たれ、協力を決めた。
 使った落花生の重量は二百キロ。二月下旬から三月上旬にかけ、家族・従業員が一丸となって皮むき作業に打ち込んだ。どんな焼酎ができるか想像がつかなかったが、誰も不平を言わず作業に取り組んだ。「ふだんより小さい実で、皮をむくのは大変でしたが、とにかくやるしかないと思いました」と幸子さん。ごみや異物がないか確かめ、熊本の球磨(くま)焼酎の老舗「深野酒造」に提供した。
 九月二十一日に東京都内で行われた「絆華」完成セレモニーでは、鈴木社長も炭酸で割って試飲。「飲みやすく香ばしさがあった。(焼酎に)名前までつけてもらって感慨深かった」と振り返る。
 七月には、人吉市が豪雨災害に見舞われた。セレモニーの場では、「千葉の物を買おう」「熊本の物を買いたい」と被災地同士で助け合っていこうという会話が出席者の間で交わされた。鈴木社長も「(落花生焼酎を機に)熊本とのつながりができた。何か相談事があれば、お手伝いしたい」と誓った。
 「絆華」は限定千本で、一本三千円。一本当たり百円が千葉県に寄付される。十一月五、六日に羽田イノベーションシティ(東京都大田区)で開かれる「よい仕事おこしフェア」で販売された後、深野酒造で予約販売する。

県産の落花生が原料の球磨焼酎「絆華(きのはな)」

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