<しみん発>障害者も安心できる場 NPO法人「くるみ−来未」理事長・太田修嗣さん(44)

2020年10月13日 07時54分

「くるみのおうち」で9月下旬に開かれたカレーイベント=川崎市中原区で

 自閉症など発達障害がある当事者は、初めての場所や公共施設が苦手なことが多い。だから安心して過ごせる、また訪れたくなる交流の場を自分たちでつくろうと、川崎市中原区のNPO法人が、築50年の空き家をリフォームした。理事長自らも自閉症の長男を育てる父子家庭で、そんな居場所を求めてきた一人だった。 (石川修巳)
 交流の場をつくったのは、NPO法人「くるみ−来未」。その名称に「明るい未来はきっと来る!」との希望を託し、みんなが自分らしく生きられる社会にするのが目標という。
 理事長の太田修嗣さん(44)の本業は会社員。海外赴任中、当時三歳の長男が自閉症の診断を受けた。成長とともに多くのトラブルが押し寄せ、仕事との両立で疲れ果てる日々。そんな父子家庭を支えたのは、十九歳になった長男の笑顔と仲間の存在だった。
 だからこそ「くるみのおうち」と名づけた居場所が目指すのも、出会い、つながり、認め合うきっかけづくりだ。
 昨春、空き家だった中原区上平間の二階建てを自費で購入。二階を自宅に、一階の約六十平方メートルを「くるみのおうち」にした。築五十年ゆえに大がかりな修繕が必要になり、自分たちでできることをやるDIYイベントも開いた。
 今年二月に開所式にこぎつけたものの、コロナ禍で活動を自粛。七月から徐々に再開し、九月下旬にはみんなでカレーを食べる催しを予約制で開いた。親子で参加した川崎市幸区の野村浩さん(64)は「自閉症のわが子は初めての場所が苦手。外食も難しい。地域に行ける場所があるのは、すごく助かる」と語った。
 「地域の人たちにわが子を理解してほしいのに、その機会がない」「家庭の外で安心できる場所がない」…。くるみが七月、障害当事者の親に実施したアンケートにも切実な声が寄せられていた。
 こうしたニーズをくみ取りながら「くるみのおうち」を拠点に、今後も弁当作り体験やさまざまな専門家による催しを計画。多様な「自分らしさ」を包み込む居場所にしたいという。
 「息子と仲間がいて、親にならせてもらっている。私は、この子を育てることができて、本当によかったと思います」と太田さん。その実感が、活動の原点になっている。
<おおた・しゅうじ> 兵庫県西宮市出身。長男に知的障害・自閉症があり、親子とも生きづらさを感じてきた経験から、当事者・家族を支援するNPO法人を2014年設立。詳しくは「くるみ−来未」のFacebookページへ。

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