「女性アスリートをもっと自由に」 無月経の悩みやおしゃれの方法を現役選手らがYouTubeで発信 

2020年10月13日 11時30分

「女性アスリートに寄り添いたい」と、ユーチューブチャンネルを立ち上げた中村水月選手(左)と、沢田珠里さん=東京都内で(兼村優希撮影)

 女性アスリートが抱える問題を選手目線で訴えたい。スポーツと「かわいい」を両立させたい。陸上の現役選手と元選手が今夏、動画投稿サイト「ユーチューブ」でチャンネルを開設した。指導者の多くを男性が占める現場で、見過ごされがちな女性特有の生理現象や悩みを取り上げる。根底にあるのは「女性アスリートをもっと自由に」という思いだ。 (兼村優希)

◆男性指導者の理解進まず、当事者に情報が届かない

 動画を投稿するのは、短距離の中村水月みづき選手(24)と、七種競技の元選手の沢田珠里じゅりさん(24)。「JAM channel」のアカウントで、2カ月で数本の動画を公開した。無月経などの問題を産婦人科医に聞き、栄養バランスに敏感な選手向けのヘルシーなお菓子を作る。「普通の女の子としての一面も見せたい」とゲームに興じる様子も。
 動画で中村選手は「成長期にけがをして、運動量は減るけどご飯はいっぱい食べた。体重が増え、部活の指導者から痩せろ痩せろって言われて…」と実体験を話す。ゲストの医師は「成長を妨げて女性ホルモンに影響すれば、生理が止まって骨粗しょう症の原因になりかねない。食べ盛りの思春期に制限するのは、将来のことを考えるとよくない」と呼びかけた。
 2人とも減量などによる月経不順を経験している。注意すれば防げるはずのトラブル。男性指導者らの理解が進まないこともあり、なかなか当事者の女子選手に情報が届かないのが現状だ。「問題が起こると分かっているのに、みんながそこに引っ掛かっていくのは、おかしい」と中村選手。自分が声を上げれば、困っている選手にも届きやすいのでは。「選手を辞めた後に言っても響かないこともある。だからこそ、今私が現役である必要がある」

◆「未来の女子選手のために」中傷に屈せず、結果も目指す

 選手は1人の女性でもあるはず。なのに見た目の美しさはいらないという精神論がはびこる。昨年引退し、今年から大学院に通う沢田さんは「『女』になったら競技者として終わるってひたすら言われてきた」。留学した英国でおしゃれを楽しむ現地の選手を目にし、疑問を持った。「もっと『女子』とアスリートを両立してもいい」。今後は体形に合った服選びや、競技中も崩れにくいメーク法などを取り上げるつもりだ。
 ふんわりとしたワンピース姿でにこやかに動画を撮る様子を載せると「目立ちたいだけ」と中傷するようなコメントも届く。「日本でのアスリートの見られ方はこう。よっぽど選手はただ黙ってるものだと思われているんだな」と2人。傷ついても、やめるつもりはない。沢田さんは「ここで屈したら変わっていけない」と口元を引き締める。
 2017年に100メートルと200メートルで学生チャンピオンになり、同年の日本選手権も両種目で3位に入った中村選手だが、今は膝のけがなどで本調子に程遠い。「(活動を知ってもらうには)結果を出さないと」との責任感も生まれた。すでに1000回以上再生された動画もあり、指導者からの相談や競技関係者から「コラボしたい」との声も。自分たちの活動はきっと意味があると信じる。「女性アスリートに寄り添いたい」と中村選手。未来の選手がのびのびと競技できるよう、地道に活動を続けていく。

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