非正規格差「不合理とまでは言えない」 賞与・退職金の不支給で最高裁判決

2020年10月13日 23時16分

大阪医科薬科大を巡る上告審判決後、「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告弁護団=13日午後、最高裁前で

 非正規労働者にボーナス(賞与)や退職金を支払わないことが、「不合理な格差」に当たるか否かが争われた2件の訴訟の上告審判決が13日、最高裁第三小法廷であった。契約社員に退職金を支払わなかったケースとアルバイト秘書へのボーナス不支給をいずれも「不合理とまでは言えない」と判断し、一部の支払いを命じた二審判決を見直し、ボーナスと退職金に相当する部分の請求を棄却した。
 不合理な待遇格差を禁じる「同一労働同一賃金」が今年4月に始まって以降、初の最高裁判決。働く人の4割近くに当たる2000万人超が、立場の弱い非正規となっているのが現状で、判決は多くの企業や労働者に影響を与えそうだ。
 旧労働契約法二〇条は、非正規労働者と正社員の職務内容や企業ごとの事情を考慮したとき、「不合理」と認められる格差を禁じている。最高裁は2018年6月の同種訴訟の判決で、「賃金総額だけを比べるのではなく、手当など賃金項目ごとに考慮すべきだ」との枠組みを示していた。
 大阪医科薬科大(大阪府高槻市)でアルバイトの秘書として働いていた女性が起こした訴訟は、ボーナス支給の妥当性が争われた。
 宮崎裕子裁判長は判決で、正社員は女性が携わっていなかった試薬管理などを担っており、職務内容に「一定の相違があった」と指摘し、同大が正社員の業務をアルバイトに置き換えていた事情も考慮すると不合理な格差とは言えないと判断。「正社員の6割を下回る支給は不合理」とした二審・大阪高裁判決を見直した。裁判官5人一致の意見。
 東京メトロの子会社メトロコマース(東京都台東区)の契約社員として売店で約10年働いていた女性2人の訴訟は、退職金支給の是非が争点だった。
 判決は2人と正社員の職務の内容は「おおむね共通する」としつつ、同社が正社員への登用制度を設けていた事情も考慮し、格差が「不合理とまで評価できない」と判断。「少なくとも正社員の4分の1の退職金を支払わないのは違法」とした二審・東京高裁判決を取り消した。林景一裁判長ら4人の多数意見。行政法学者出身の宇賀克也裁判官は「二審判決をあえて破棄するには及ばない」と反対意見を述べた。
 判決を受け、大阪医科薬科大は「人事制度を適正に評価してもらった」とコメントし、メトロコマースは「判決内容を確認し、適切に対応したい」とした。

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