「どうしたら娘助けられたか」両親悔やむ  自殺した元交際相手を書類送検へ<中野区女性殺害>

2020年10月14日 05時50分

勤務先の洋菓子店のオープン時に笑顔を見せる野口麻美さん=遺族提供

 東京都中野区で8月、洋菓子店長の野口麻美さん(38)が殺害された事件で、警視庁は週内にも、事件直後に自殺した元交際相手の男(34)を殺人容疑で書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。野口さんは男からの暴力やストーカー行為に悩み、警視庁に相談をしていたが、4月に「もう大丈夫」と断っていた。事件の予兆があっただけに、両親は「どうしたら娘を助けられたかと考えてしまう」と無念の思いを語った。(天田優里)

◆自宅アパートの寝室で

 事件は8月30日午前10時ごろ発覚した。野口さんが首や背中などを包丁で刺され自宅アパートの寝室で亡くなっているのを、訪れた弟が見つけて110番。男はこの3時間前、現場から約2キロ離れたマンション7階から飛び降りて死亡しているのが見つかっていた。捜査関係者によると、男の着衣から野口さんの血液が検出されたという。
 事件当日、両親は知人からの連絡で男の写真投稿アプリに、野口さんへの恨みと、男が自殺をほのめかす投稿があるのを確認。野口さんの電話がつながらなかったため、都内に住む弟に様子を見に行くよう頼んでいた。

◆同僚だった男から暴力

5年前、父親とコンサートに行ったときの野口さん。チケットは父親への誕生日プレゼントだった=遺族提供

 両親や捜査関係者によると、2人は都内の飴菓子店の同僚だった2016年ごろ交際を始めた。野口さんは「相談に乗ってくれるいい人」と話していたが、暴力を振るわれることがあったため、母親(68)が交際をやめるよう助言。別れた後も、男から「もう死ぬ」「恨んでやる」といったメールが送られてきたという。
 昨年5月に野口さんを殴ってけがを負わせたとして、警視庁は同8月に傷害容疑で男を書類送検。近づかないよう注意していたが、同11月、男が野口さんの勤務先の店を訪れたため再び警告した。その後、接触や連絡はなくなっていたが、父親(72)は「今思えば、この時にどこかに引っ越しさせておけば良かった」と悔やんだ。

◆自分の店を開く夢を

両親の自宅に飾られた野口麻美さんの遺影。周りには友人らからの手紙や花が飾られている=長野県軽井沢町で

 両親によると、野口さんは思いやりのある優しい性格で友人が多かった。母親とのケーキ作りが好きだったこともあり、大学卒業後、都内の飴菓子店勤務を経て、昨夏から渋谷区の洋菓子店マネジャーに。自分の店を開く夢を持っていた。
 事件から1カ月半たっても、両親は娘を失った実感が湧かず、今もどこかで生きているんじゃないかと思う。父親は「人に恨まれるような子じゃなかった。なぜ殺されなければいけなかったのか」、母親も「相手も亡くなり、気持ちの持って行き場がない。どうしていたら助けられただろう…」と目を潤ませた。

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