学術会議6人除外、首相チェックせず 官房長官「事務方に任せていた」
2020年10月14日 05時50分
日本学術会議の新会員任命拒否問題を巡り、加藤勝信官房長官は13日の記者会見で、候補者6人を除外した起案段階の人選について「首相が一つ一つチェックするのではなく、事務方に任せていた」と説明した。菅義偉首相が除外の判断に関与していなかったともとれる発言だが、首相がどのように判断して除外を認めたのかは、明確に語らなかった。(清水俊介)
◆官房長官「最終的には首相が決めている」
加藤氏は任命拒否の過程について「通常のやり方にのっとって作業が進められた」と説明。その上で「最終的には首相が決めている」と述べ、任命権者の首相が判断したと強調した。
6人の除外を巡っては、杉田和博官房副長官の関与も判明した。政府関係者によると、杉田氏は任命できない人が複数いることを決裁前に口頭で首相に報告していた。官邸幹部は「(首相が)誰が任命されないかまで把握していたかは分からない」と語った。
杉田氏の除外への関与について、加藤氏は「一般論として官房副長官は、官邸における総合調整の役割を果たす」と述べ、問題ないとの考えを示した。
◆推薦候補者名簿を首相「見ていない」
首相は9日の内閣記者会のインタビューで、学術会議提出の105人の推薦候補者名簿を「見ていない」と発言。首相の任命権との整合性が問われたため、加藤氏は12日の会見で、首相が決裁文書に添付された名簿を「詳しくは見ていなかった」と釈明した。
立憲民主党の枝野幸男代表は13日の党会合で「首相が判断せず、他の人が判断したなら適法性が疑われる。首相もよく分からない状況で周囲が勝手にこんな大事なことをしていたのであれば、許されるものではない」と批判した。
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