藤井聡太2冠らを輩出した大会がコロナ禍で中止に…有志の企画で「全国小学生棋童戦」開催

2020年10月14日 11時45分
 この夏、藤井聡太2冠の初タイトル獲得で将棋界が盛り上がった一方、“後輩”の子どもたちが目指していた全国大会が、新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった。悲嘆に暮れる児童に、全国大会出場機会を提供しようと、有志が立ち上がった。題して「全国小学生棋童きどう戦」。感染対策を取った上で、全国規模での開催を目指している。 (北條香子)

◆低学年の子にとって特別な大会が…

 中止となったのは、毎年夏に岡山県倉敷市で開催される「全国小学生倉敷王将戦」(倉敷市など主催)。「小学生名人戦」に並ぶタイトル戦で、藤井2冠や菅井竜也八段ら数々の若手棋士を輩出している。第19回の今年は、コロナの影響でいったん来年1月への延期が予定されたが、8月末に中止が決まった。
 名人戦は学年別ではないため高学年ほど有利で、7月末の決勝大会に進んだ4人はいずれも6年生だった。倉敷王将戦は高学年と低学年に分かれており、名人戦に手が届きにくい低学年も県代表を目指せる。

自宅で家族を相手に将棋を指す菅谷武琉君=横浜市で

 横浜市の小学3年生、菅谷武琉たける君(9)は昨年、神奈川県代表選出が期待されていたが、プレッシャーから県予選で敗退。低学年最後の今年にかける気持ちは強く、中止を知ったときはショックで言葉も出なかったという。母のまゆこさん(38)も「低学年の子にとっては特別な大会。今年こそ県代表を名乗れるようにと思っていたので、私も泣いてしまった」と話す。

◆Twitterでの代替大会発案に多くの賛同

 そんな状況を知り、「将棋にのめり込んでいる全国の子どもたちが悔しがって落胆している。何とかしてあげたい」と考えたのは、東京都港区に住む会社経営の男性(41)。小学2年の長男(8)も将棋を楽しんでおり、菅谷君ら面識のある将棋キッズの顔が目に浮かんだという。
 男性が9月1日、ツイッターに「子供たちが可哀想かわいそう過ぎるので自分で将棋大会やろうかと思ってる」「コロナ禍は事実だから規模を大きくは出来ないけど、みんなの前で頑張ったね!!って拍手喝采されたり悔し涙を流すという将棋キッズ達にとっての機会をコロナなんかで失って良いのか」と投稿すると、多くの賛同があり、保護者ら有志による実行委員会が発足した。

◆地方予選も有志が…29都道府県で開催決定

 棋童戦では倉敷王将戦と同様、高学年・低学年それぞれで都道府県予選を行い県代表を決める。実行委員会がツイッターで地方予選の実施を募ると、各地の有志が立ち上がった。10月14日現在、29都道府県での開催が決まっている。
 「初代棋童」を決める決勝大会は来年2月28日、東京都で開く予定。予選・決勝ともに日本将棋連盟のガイドラインに沿った感染対策を行う。

◆「コロナだから仕方ない」植え付けたくない

 菅谷君は「せっかく新しい大会を作ってくれたから、全国大会で優勝してトロフィーが欲しい」と意気込む。男性は「『コロナだから仕方ない』という意識を子どもたちに植え付けたくない。問題や課題がある中でも、自分にできることを実現していく姿勢を見せたい」と力を込める。
 実行委員会は手弁当で活動しているが、男性は「開催費用や都道府県代表の交通費などを賄うためにも、スポンサーを集めたい」と話している。詳しくはツイッターの「全国小学生棋童戦実行委員会」アカウントで。

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