「もちろん佐川さんの判断です」 森友自殺訴訟 財務局元上司の音声提出

2020年10月14日 23時04分
 学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=が決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、妻雅子さん(49)が国と佐川宣寿のぶひさ元国税庁長官に計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、俊夫さんの元上司が改ざんや国有地値引きの背景を雅子さんに語ったとする音声データ記録を原告側が大阪地裁に提出したことが、分かった。

赤木俊夫さん=妻提供

 原告側によると、音声は俊夫さんの自殺1年後の2019年3月、近畿財務局統括国有財産管理官だった元上司が雅子さんと面会した際のやりとり。元上司は「改ざんは佐川さんの判断」などと述べていた。
 14日は地裁で第2回口頭弁論を実施。原告側は俊夫さんが残したとされる改ざんの過程を記録したファイルやメモの提出を求めているが、国側は準備書面でファイルの存在や提出について回答を拒否。雅子さんは法廷で「真実を知りたいとお願いしているのに、そんなこと知らなくていいと言われたようだ」と国側の対応を批判した。
 原告側が報道陣に公開した音声データによると、元上司は「初めから赤木さんは改ざんに抵抗し、涙を流していた」と説明。国有地売却については「確実に(ごみの)撤去費用が8億になるかという確証が取れていない」と言及した。また安倍晋三前首相や政治家らの関与に関しては「あの人らに言われて減額するとかいうようなことは一切ない。忖度そんたくはしていない」とした。
 原告側はこのデータを基に国に対し、改めてファイルなどの提出を求めた。地裁はデータの証拠採否を今後判断する。

佐川宣寿氏

 訴訟で国側と佐川氏側はいずれも請求棄却を求めている。佐川氏側は「公務員が違法に損害を与えた場合、賠償責任があるのは国で、公務員個人は責任を負わないことが判例で確立しており、原告の主張は失当だ」と反論している。
 原告側は、俊夫さんの労働時間を調べるため財務局の入退館記録の提出も求め、国側は12月9日に予定の進行協議をめどに回答するとした。次回の口頭弁論は来年2月17日に開かれる。

◆音声データのポイント

 音声データに記録された元上司の発言要旨は次の通り。
 【文書改ざん】
 僕は受け入れたほうです。というか、手放しでは受け入れてはないです。抵抗はしました。というか、やる必要もないと思っていましたし。
 初めから赤木さんは抵抗していました。正直、涙を流しながら抵抗していた。本省(財務省)にもちろん僕自身も抵抗していたんですけれども、課長という立場で止めきれなかった。
 (赤木さんが改ざんの経緯を記したファイルに関し)検察がガサ入れ(家宅捜索)に来た時に、赤木さんから「きちっと整理してあるこれがあるんですけど、これも出していいですか」と聞かれたんです。パラッとだけ見たんです。うわ~、メッチャきれいに整理してあるわと。全部書いてあるやんと。どこがどうで、何がどういう本省の指示かっていうこと。

◆「修正の過程が全部分かる」

 前の文書であるとか、修正後のやつであるとか、何回かやりとりをしたようなやつがファイリングされていて、それがきちっと、パッと見ただけで分かるように整理されてある。われわれがどういう過程でやったかというのが全部分かる。
 なんか変な口ごもった話になったら申し訳ないですけど、もちろん(改ざんの)判断は佐川さんの判断です。
 【国有地売却】
 僕は安倍さんとかから声が掛かったら、正直売るのはやめていると思います。だから、あの人らに言われて減額するとかそういうようなことは一切ないです。
 安倍首相とかに言われたからって、僕らはそんなので仕事を左右するような人間ではないということです。忖度(そんたく)とかっていう言葉が出てますけど、そんなことはしていません。そういうことをしたというのであれば、僕は検察でもそのことをお話しして、背任でも何でも牢屋(ろうや)にでも入ります。
 (値引きの根拠になる)地下埋設物がどれだけ埋まっていて、どれだけの費用がかかって、どれだけ売り払い価格から控除しなければならないかというところを最後まで調べようと努力したんです。(国土交通省)大阪航空局のせいにするつもりも今更ないんですけど、彼らは動かなかったんです。
 航空局が持ってきたのが(ごみ撤去費)8億だったということで、それを鑑定評価額から引いたというだけなんです。この8億の算出に問題があるわけです。確実に撤去する費用が8億になるかというところの確信というか、確証が取れてないんです。(共同)

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