家賃の一部は「地域貢献」で払ってね 東京・国分寺の「ぶんじ寮」来月オープン 

2020年10月15日 07時12分

ぶんじ寮プロジェクトのメンバー、右が影山さん、後列の右から2人目が幡野さん=いずれも国分寺市で

 家賃の一部は地域貢献で払ってください−。こんな一風変わった集合住宅が国分寺市で十一月中旬にオープンする。国分寺だから「ぶんじ寮」。計画を進める市民らが目指すのは、入居者と地域住民が「共助」しながら、一人一人が「居場所」を見つけられる地域のあり方だ。
 八月下旬、鉄筋コンクリート二階建ての建物で、地域住民や学生ら約三十人が大掃除をしていた。ここがぶんじ寮になる。以前は地元企業が社員寮として使っていたが、入居者が減り、三月に退居。目を付けた市民ら十一人が七月に「ぶんじ寮プロジェクト」を結成し、借り上げを決めた。
 きっかけは、新型コロナウイルス感染症の影響で、国分寺エリアの飲食店の売り上げが激減したことだ。市内でカフェ「クルミドコーヒー」などを経営する影山知明さん(47)は、従業員の生活費の中で大きな比重を占める家賃を福利厚生の一部として下げられないかと考えていた。
 同じころ、学習塾を経営する幡野雄一さん(33)は、社員寮が空き家になったことを知り、仲間と活用方法をあれやこれやと話し合っていた。賃料が高額だったこともあり、議論は「妄想」の域を出なかった。その話を聞き付けた影山さんが声をかけ、「仲間を集めれば借りられる」とプロジェクトが動きだした。

ぶんじ寮の外観

 場所は国分寺駅から南東に徒歩約十五分。敷地面積は二百二十二坪。一九六六年築と七〇年築の二棟があり、八畳程度の部屋が二十二ある。風呂やトイレ、ランドリーは共有。家賃三万円と共益費五千円。築年数を考えれば、必ずしも安くはない。
 そこでものを言うのが、地域貢献だ。ぶんじ寮は家賃のうち千円以上は地域通貨「ぶんじ」で払うことが入居の条件。「ぶんじ」は地域のイベントやボランティア活動に参加した際に主催者らが謝意として渡しており、市内を中心とした飲食店で使用できる。地域に貢献するほど、家賃が安くなるということだ。

地域通貨「ぶんじ」

 影山さんは「ぶんじで家賃を払うことで、誰かのために汗をかく。周りの人に貢献する参加意識のある人に入居してほしい」と期待する。プロジェクトのメンバーは寮運営で「共助」を重視する。そのための各種イベントの計画がすでに多数、浮かんでいる。
 大きなキッチンと食堂で、月一回、当番制で寮のメンバー全員の食事を作る「コモンミール」を開こう。「ぶんじ」で食事ができる「ぶんじ食堂」はどうか。管理人室に入る予定の幡野さんは「大きなお風呂があるから銭湯を開いたり、プロジェクターで映画観賞をしたりしてみたい」と夢を膨らませる。

食堂で掃除をする近隣住民ら

 メンバーや入居者にとどまらず、地域の市民や大学生も運営に関わろうとしている。絵本・児童書専門店「おばあさんの知恵袋」店主の三田村慶春さん(71)は「絵本の読み聞かせ会を開くなど、子どもたちの成長に関わる活動をしたい」と話す。影山さんも「『共助』を大切に、近隣も含めて大きな輪になっていければ」と歓迎する。
 入居者は地元のつながりの中で決める予定で、広く募集はしない。十五日からクラウドファンディングサイトの「モーションギャラリー」で改装費用などの資金を募る。ページはこちら
 文と写真・竹谷直子
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