「首相の一日」分析してみると… 発信は後ろ向き 民間人と面会頻繁 菅首相就任1カ月

2020年10月16日 05時50分
 菅義偉首相は16日、就任から1カ月を迎えた。本紙掲載の首相動静「首相の一日」を分析すると、官房長官時代の行動パターンを変えず、関心のある政策分野に関係する民間人との会食、面会を重ねるスタイルが浮かび上がる。この間、日本学術会議の新会員任命拒否問題が表面化し、野党などは任命権者である首相の説明責任を問い続けているが、記者会見を開いたのは就任時の1回だけ。自らが国民に語ることに後ろ向きな姿勢が際立つ。 (清水俊介、井上峻輔)

◆首相になって関心分野が可視化

 首相に就任し、動静が報じられることで、関心分野が面会相手を通して可視化された。会食や面会が確認された民間人は70人を超える。安倍晋三前首相が第2次政権発足後の1カ月で、面会が確認された民間人は20人強だった。
 就任直後の4連休には、デジタル政策に詳しい村井純慶応大教授や杉山産婦人科の杉山力一理事長、内閣府の規制改革推進会議の議長代理を務めた金丸恭文フューチャー会長兼社長らと会談。首相が強い意欲を示すデジタル庁創設、不妊治療の保険適用、規制改革などで意見交換したことがうかがえる。15日は、ヤフーの親会社Zホールディングスの川辺健太郎社長などIT企業経営者らと会食し、デジタル政策で意見を聞いた。
 力を入れる政策では、官邸に担当閣僚を呼び、個別に指示。首相がこだわる携帯電話料金引き下げを担当する武田良太総務相とは、6回会っている。

◆発信不得意? 自民党内からも不安の声

 精力的に動き回るのとは対照的に、表に立って説明することには消極的だ。
 首相は9月16日の就任会見の後、質問できるメディアが限定された内閣記者会のインタビューに2回応じた。発言内容を報じない条件で、内閣記者会加盟の首相担当記者、報道各社キャップとの懇談もそれぞれ開いた。本紙は両懇談とも欠席している。
 だが、同日以降は、内閣記者会が求める記者会見に応じていない。外国首脳との電話協議や地方視察の後に、記者団の質問に答える機会を設けたことはあったが、いずれも短時間。学術会議の任命拒否問題が表面化したり、首相が就任会見で「桜を見る会」の中止を表明した後に記者団が説明を求めても、首相側は「官房長官が記者会見で丁寧に答える」などと拒んだ。
 自民党内には、首相は実務型で発信は不得意との評価もある。26日召集予定の臨時国会では、首相出席の予算委員会などが開かれる見通しで、野党は学術会議問題で、6人の推薦候補を除外した理由などを徹底追及する構え。森友・加計学園や桜を見る会の問題もあり、自民党中堅議員は「予算委で、答弁は担当閣僚に任せるなんて言ったら審議がもたない。耐えられるのか」と不安視する。

◆欠かさぬ散歩、1日3回の会食… 見えてきた行動パターン

 動静により、行動パターンも見える。官房長官時代に毎朝、議員宿舎周辺の散歩を欠かさなかった首相。「頭を整理しながらリフレッシュする時間」といい、就任後は官邸の敷地内で継続している。
 朝、昼、夜に政官財界の関係者と会食。午後9時前後には議員宿舎に戻る。週末も官僚や有識者との意見交換も続けており、完全な休養日は1日もなかった。

◆来週から土曜朝刊に掲載します

 来週以降、1週間分の首相動静を通じて、菅政権の政策や姿勢を分析する「チェック 今週の菅首相」を原則として毎週土曜の朝刊に掲載します。

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