ボーナス、退職金不支給は「不合理でない」…明暗なぜ 日本郵便訴訟
2020年10月15日 23時16分
非正規労働者が「不合理な格差」を訴えた一連の訴訟の最高裁判断は、なぜ明暗が分かれたのか。手当や休暇は趣旨を明確にとらえることができた一方、ボーナスや退職金は支給目的が複雑という背景がある。
◆経営側の事情を重視
最高裁第3小法廷は13日、アルバイトへのボーナスと契約社員への退職金の不支給を不合理でないとした判決の理由で、正社員とは職務内容に一定の相違があったことのほか、ボーナスや退職金の支給には正社員確保などの意味合いもあるという経営側の事情を重くみた。
龍谷大の脇田滋名誉教授(労働法)は「退職金やボーナスは金額が大きく、趣旨も複合的で基本給とも連動してくる。最高裁は経営判断に関わるため介入を避けた可能性がある。手当や休暇は趣旨がはっきりしており、判断しやすかったのだろう」とみる。
東京大の水町勇一郎教授(労働法)は「今回の判決は、あくまでも個別の事例判断。企業側は手当や休暇だけでなく、ボーナスや退職金についても自社の制度が『同一労働同一賃金』の趣旨に沿っているか、見直していく必要がある」と指摘した。 (山田雄之)
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