大谷、二刀流復活なるか 18年秋 トミー・ジョン手術 館山氏「術後2年は違和感」

2020年10月16日 07時54分

今季は2試合だけの登板で終わった投手・大谷=8月、アナハイムで(共同)

 ポストシーズンを迎えている米大リーグ。プレーオフ進出を逃して今季をすでに終えたエンゼルスの大谷翔平は、3年目のシーズンで投手として登板2試合目で右肘を痛めて投打の「二刀流」を封印し、打者としても打率1割台。新型コロナウイルスの影響で変則的な日程となり、難しい調整を強いられた事情があったにしても寂しい成績だった。2018年秋に受けた右肘手術の影響はいつまであるのか。来季は二刀流として復活できるのか。 (竹村和佳子)
 大谷が受けた右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)は、ダルビッシュ有(カブス)も15年に受けている。ダルビッシュは術後、右肘痛再発もあり不本意な成績が続いたが、今季は8勝を挙げて日本人初の最多勝に輝き、サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)の有力候補に挙げられるほど見事に復活した。
 昨年引退したプロ野球楽天の館山昌平コーチは、現役だったヤクルト時代に3度もこの手術を受けた。プロ2年目だった最初の手術の4年後から5年連続2桁勝利を挙げたが「1軍で投げていてもリハビリは続き、違和感や怖さはずっとあった。それが無くなったのは術後2年後くらい」という。
 ダルビッシュや館山コーチのように、術後も第一線で活躍した投手はたくさんいる。大谷はまだ術後2年目。本格的な復活まで数年かかるのは想定の内とも言える。だが特殊なのは、大谷は野手でもあるということだ。
 「左打ちは、右腕でバットをリードして肘を畳んだりひねり返したりするので、どうしても投げる右腕に負担がかかる。二刀流でやるなら週1回登板の間にDH(指名打者)2試合。これぐらいが限度だと思う」
 こう持論を展開するのは、昨年まで米大リーグ4球団でスカウトを務めてきた野球評論家の大慈彌(おおじみ)功さん(64)だ。大慈彌さんは今季の大谷の起用法について、エンゼルス首脳陣への不満を漏らした。「投げた炎症が治まっていない登板翌日から5日連続で野手として使うなんて。打撃練習だって肘を使う。野手だからいい、なんて甘い」と指摘する。
 先発投手は、登板翌日は体をほぐす程度で2日目は休養し、次回登板まで1度ブルペン入りするのが普通だ。大谷は一昨年秋に手術して、昨年は野手に専念。再び二刀流に挑戦した今季はコロナ禍でイレギュラーな調整になり、慎重な対応が必要なはずだった。「球速、スイングスピード、走力すべてに飛び抜けた力を持っているからこそ、体に負担がかかる。だから高校時代から故障が絶えない。無理な使い方をしていれば壊れてしまう」と警鐘を鳴らした。
 日米で活躍したイチローさんは昨春、自身の引退会見で大谷について「1シーズンごとに投手、翌年は打者としてサイ・ヤング賞と本塁打王をとったら」と、隔年で投打に専念する変則型二刀流を提案していた。
 オフの体づくりに加え、バランスの取れた起用法が、今後の二刀流完全復活への鍵を握りそうだ。
◆「バットの先に当たると痛み」

打者としても低調だった大谷=9月、アナハイムで(共同)

 日本球界でトミー・ジョン手術を受けたのはほとんどが投手。野手は十数人で、うち術後に1軍で活躍したのは5人ほどしかいない。その中で、大谷と同じ右投げ左打ちだったのが、元巨人内野手で現スカウトの脇谷亮太さんだ。
 2010年に「試合中の送球で肘にブチッと切れるような感覚」があり、痛み止めを打ちながらプレー。保存療法を選んだが、顔や髪を洗うのもつらいような痛みが日常的で、翌年のシーズン後に手術した。つらかったのはリハビリ期間。「マッサージでも激痛が走り、『本当に復帰できるのか』と不安が募った。痛みや張りをかばって別の部分を痛めたり。寒い日もつらかった。本当に痛みがとれたのは2年ほどたってから」という。
 復帰後、送球には怖さや痛みがあったが、打撃ではほとんど気にならなかったという。「練習のスイングや、普通の打撃では芯に当たっても詰まっても、特に問題なかった。飛距離も変わらない」と説明。一方で、「左打ちだと最後は右手1本でバットを持つ形になるので、タイミングを外されてバットの先っぽに当たるような、右腕を伸ばした状態になる時だけは痛みが走った」とも振り返る。
 術後は5年間、369試合に出場し打率2割5分3厘、6本塁打、57打点と活躍。「もちろん、手術は受けて良かった。日常生活にまで支障が出てたので、あのままなら、じきに野球を辞めざるを得なかったと思う」
 大谷も「手術して良かった」と思える日が来るはず。その時は、術前のようにグラウンドで投打に再び輝きを放っているだろう。

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