経産相「いつまでも先送りできない」 10月27日にも海洋放出の方針決定 福島第一原発の汚染処理水
2020年10月16日 20時10分
東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水の処分について、所管する梶山弘志経済産業相は16日、閣議後の会見で「処理水の量が日々増加していることを踏まえれば、いつまでも方針を決めずに先送りすることはできない」と述べた。関係者によると、政府は27日にも関係閣僚による会議を開き、海洋放出処分の方針を決める。
◆海洋放出に「絶対反対」 全漁連は政府への要請続ける
漁業など水産業者を中心に、風評被害への懸念から海洋放出には反対の声が上がっている。全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長は16日、農林水産省や復興庁を訪れ「漁業者の総意として絶対反対」とする要望書を提出。15日にも経産省や環境省を回り、慎重な判断を求めており、この際、梶山氏は「風評の影響には徹底的な対応をする」と応じた。
汚染水を浄化処理した後の水は原発構内のタンクで保管されており、量は約120万トンに上る。東電は、タンク建設用の敷地に限界があり、2022年夏には保管容量が満杯になる見通しを示している。放出する設備の整備や原子力規制委員会の審査に2年はかかるとみられ、処分の前提を変えないなら、方針決定までの時間は限られていた。
政府と東電は、処理水のトリチウム濃度を海水で薄めて国の排出基準以下にして放出することを検討。ただ、保管する処理水の約7割は浄化処理が不十分で、トリチウム以外の放射性物質も国の排出基準を超えて残るため、東電は再浄化する方針だ。(小川慎一)
トリチウム(三重水素) 放射能を帯びた水素で、酸素と結合してトリチウム水になる。普通の水と分離するのは難しく、汚染水を浄化している多核種除去設備でも取り除けない。放射線(ベータ線)は比較的弱く、人体に入っても大部分は排出される。放射能は12.3年で半減
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