石油タンク漏れ? 大地震の前兆? 青潮? 横須賀・横浜の異臭で深まる謎

2020年10月16日 21時27分

8月21日にこの夏3回目の異臭騒ぎがあった神奈川県横須賀市=本社ヘリ「おおづる」から

 神奈川県内で6月から断続的に続く異臭騒ぎが、10月に入っても収まる気配が見えない。県南端の三浦半島から始まった騒動は、次第に北上するかのように今月、横浜市に達した。横浜、横須賀両市内で採取された空気からはガソリンの成分が検出されたものの、発生源は依然不明。専門家の見方も石油タンクや船のガス抜き、「地震の前兆説」など決め手を欠き、謎は深まるばかりだ。(土屋晴康、丸山耀平)

◆三浦、横須賀、逗子、横浜…北上する異臭

 「ゴムが焼けたような臭いがする」「シンナー臭い」。6月4日、三浦半島に位置する三浦市や横須賀市、逗子市の消防に、そんな通報が相次いだ。200件以上あったこの日を起点に、地元消防にはその後も月に1回のペースで通報が続いている。
 10月に入ると、横浜市内での通報が増え始めた。12日には横浜駅周辺で異臭騒ぎがあり、一部改札口を規制する騒ぎに。駅から2・5キロほど内陸に離れた保土ケ谷区の市消防局でも職員が異臭を感じ、空気を採取。分析の結果、ガソリンなどが気化した際に出る「イソペンタン」が通常の10倍以上、「ブタン」が3倍程度の濃度で検出された。

異臭を調べるため横須賀市の消防署などに配備されている大気採取機器=神奈川県横須賀市で

◆石油タンク漏れ? 石油運搬船のガス抜き?

 「イソペンタンは通常ではあり得ない濃度。人工的に出たものだろう」。横浜国立大の浦野紘平名誉教授(環境安全学)が推測する。通報が広範囲に及ぶことから、浦野さんは沿岸に点在する石油タンクが原因ではないかとみる。「石油をタンクに入れるたびに、タンク内の排ガスが外に押し出される。浄化装置があり、通常はガスが外に出ないが、亀裂などがあれば漏れて異臭がする場合がある」
 東京湾を航行する石油などを運搬する船が、ガス抜きしているからではないかとの説もあるが、浦野さんは「港のそばでガス抜きは禁止されており、考えにくい」と否定的だ。

◆大地震の前触れか

 三浦半島では関東大震災など大地震の前に異臭がしたという記録があることから、「地震の前兆説」を唱える研究者もいる。立命館大環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害マネジメント)は「地下で岩石などが割れた際には焦げた臭いがする。巨大地震の前触れと断定できないが、警戒はしておくべきだ」と指摘する。

◆異常増殖したプランクトンによる「青潮説」も

 異常増殖したプランクトンが分解される過程で硫化水素を発する「青潮説」を唱えるのは、海洋問題に詳しい東海大の山田吉彦教授。青潮は通常、春から夏にかけ東京湾で多く発生するが、「今年は海水温が高かったため、10月でも発生してきた可能性はある」という。
 ただ、通報する人によって臭いの感じ方に違いがあり、全ての通報が同じ原因かも不明だ。山田教授は「有害な物質がないのか、原因を1つに特定せずに、丁寧に確認していく必要がある」と話している。

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