ヘイト削除要請「適当」 審査会が答申 川崎市長「差別許さぬ社会に」 来週中にも9件公表へ

2020年10月17日 07時32分

ネット上の差別的な書き込みについての答申を福田紀彦市長(右)に提出する審査会の吉戒修一会長=市役所で

 ヘイトスピーチに全国初の刑事罰を科す川崎市の「差別のない人権尊重のまちづくり条例」に基づく有識者審査会は十六日、在日コリアン女性を対象とした書き込みについてツイッター社への削除要請が「適当」とする答申を、福田紀彦市長に提出した。福田市長は「表現の自由に配慮しつつ必要な措置を講じる。あらゆる差別を許さない公正な社会をつくる努力をしたい」と述べた。 (安藤恭子)
 女性は川崎区の崔江以子(チェカンイジャ)さん(47)。答申を踏まえ、市は来週中にも文書で削除要請を行い、「不当な差別的言動」とされた九件のホームページでの公表に踏み切る方針。
 市が示した答申概要によると、うち削除要請をする二件は「早く祖国へ帰れ」「日本に寄生して日本を滅ぼす者として、日本から排除する」という趣旨の記載。市の公表に際して「検索などで当該投稿が特定されないように十分配慮すること」も求めた。答申の中でも投稿者のアカウントや日時、正確な文言などは示されなかった。
 既にネット上で見られない七件についても、条例に基づく拡散防止措置が「妥当だった」として公表を促し「本格的に始末する必要があるという趣旨の記載」や「昆虫に例える表現」があったとした。
 崔さん側は五月以降、ネット上の差別的な書き込み三百件超について市に救済を申し立て、「審査に時間がかかりすぎる」と市に運用改善も求めてきた。答申後、取材に応じた福田市長は「円滑に判断をしていただいた。今のところ大きな課題があると思っていない」と述べて、条例の忠実な運用の必要性を強調した。
 崔さんは「条例ができた成果を実感しています。ただ、まだネット上には私を『殺すしかない』などと、数えきれない差別書き込みがあり、残念ながら被害に救済が追い付いているとはいえません。引き続き市の適正な条例運用を信じ、共に歩みます」とコメントを出した。
 崔さんの代理人の師岡康子弁護士は、公表について「加害者本人への警告、また、市民に何がヘイトスピーチか具体的に知らせる啓発の点から、アカウント名と書き込みそのものを出す方が望ましい」とした。

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