47都道府県の「貯金」が3分の1に コロナで取り崩し 行政サービス低下の恐れ<本紙集計>

2020年10月19日 06時00分
 47都道府県が「貯金」として積み立てている財政調整基金(財調)の残高が本年度に入り、新型コロナウイルス感染症への緊急対応などで3分の1近くにまで減ったことが本紙の集計で分かった。取り崩しが続くと、教育や福祉といった生活密着の分野に十分な財源を充てられなくなる恐れもあり、自治体担当者には今後の財政運営を懸念する声が広がっている。(山口哲人)

◆1兆318億円がコロナ対策に

 本紙の集計では、47都道府県の財調残高は2019年度末の決算時点で計1兆9160億円だったが、20年9月末時点では65.5%減の計6601億円まで落ち込んだ。取り崩した1兆2559億円のうち、1兆318億円がコロナ対策によるものだった。
 休業要請に対する協力金などの経済対策や医療体制強化といったコロナ対策で出費がかさみ、大幅に取り崩した自治体が多い。自治体の中には補正予算で補充しているところもあるが、追加のコロナ対策などで財政需要は今後も増加する見通しで、残高はさらに逼迫する恐れがある。
 財調の残高不足が続くと、突発的な災害などでの緊急の財政措置が困難になる懸念がある。景気の悪化などによる税収不足も重なれば、本来は優先順位の高い教育や福祉といった政策に充てる財源にも影響が出かねず、行政サービスの低下を招く恐れが高まる。
 コロナ対策による取り崩し額が最も多かったのは、19年度末の残高が9345億円と突出して多かった東京都で8312億円。コロナ対策の比率が最も高かったのは石川県で92%を占めた。

◆国の交付金活用しても…

 自治体が講じるコロナ対策には国の地方創生臨時交付金を充てることが可能。国は既に1兆円を交付し、11月にも2兆円を追加配分する。計3兆円のうち1兆2000億円超が47都道府県向けだ。
 だが担当者は本紙の取材に「交付金は9月補正予算までに全て充当したため足りない」(愛知県)、「交付金を活用した上で不足分を財調から取り崩しており、厳しい状況」(石川県)などと話している。

 財政調整基金
 都道府県など地方自治体が年度間の財源調整を図るため、地方財政法に基づき、条例で設置している。不況による税収減で歳入が足りなくなったり、災害などの不測の事態で歳出が急増したりした場合に、積み立てた基金を取り崩す。

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