1000のボタン 気分は何おし? 八王子のメーカー、童心を「ポチッ」とON

2020年10月19日 07時09分

ボタンの押し心地を確かめる鈴木陽奈太君

 バスやエレベーターのボタン。子どものころ、押したくなる気持ちを抑えきれず、親に怒られた経験はないだろうか。そんな幼少期の欲求を抑えることなく、無数のボタンが押し放題の夢のような場所がある。エレベーターの意匠器具メーカー「島田電機製作所」(八王子市)。見学者のための「1000のボタン」コーナーでは、さまざまなボタンが、あなたに押されるのを待っている。
 丸だけでなく細長い形だったり、三角だったり。同じ幼稚園に通う鈴木陽奈太(ひなた)君(6つ)と山下大翔(ひろと)君(5つ)は、ずらっと並んだボタンに「わーっ」と言って目を輝かせた。二人は、休む間もなく次々にボタンを押していく。母親たちは「うちのマンションだったら注意するけど、ここは押し放題だから」。
 同社ではこれまでも見学者を受け入れてきたが、社屋改装に合わせて「1000のボタン」コーナーを設けた。正確にはボタンの数は千四十八。エレベーターでおなじみの階数のボタンや「開」「閉」はもちろん、「楽園」「絶対に!押すな」など、大人でもついついポチッとしたくなる遊び心満載のものも。千個の中に隠れている同社のマスコット「ボタンちゃん」のボタンは、押すと楽しいサプライズが起きる。

出社すると、「やる気ボタン」をまず一押し=いずれも八王子市で

 島田正孝社長(51)は「エレベーターは身近だけど、ボタンを作っているメーカーは見過ごされがち。一人でも多くファンを作りたいと思った」と話す。その狙いは大当たり。丸いボタンの形にちなんで「0」が付く日に開く見学会には、申し込みが殺到している。
 同社では、社員専用のボタンも実にユニーク。出社してまず押すのが、入り口にある「やる気ボタン」。それぞれに社員一人一人の似顔絵と名前が描かれている。まるでタイムカードのように、ボタンを押す。開発グループの仲松拓弥さん(25)は「仕事始めにボタンを押すと、『やるぞ』という気になりますね」。
 人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)が普及して、世の中は急速にデジタル化が進んでいる。なんでもタッチパネルになった上に、コロナ禍で非接触型の操作が推奨されている。しかし、「アナログな『押す』という動作には、何か深い意味があるように思います」と島田社長。押したら新たな世界が開かれる−。ボタンには、人間の本能に訴えかける「何か」があるのかもしれない。

お疲れですか?

男子禁制

サプライズが

と言われると、つい

 社内見学「工場のぞきみ見学会」は平日の「十日」「二十日」「三十日」。一日三組限定。問い合わせは、同社総務部=電042(656)1401=へ。
 文と写真・布施谷航/紙面構成・加藤秀和
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