顧客の迷惑行為「カスハラ」に国が企業向け対応マニュアル策定へ 

2020年10月19日 10時02分
 顧客が従業員に威圧的な言動や理不尽な要求を突きつける「カスタマーハラスメント」(カスハラ)を巡り、厚生労働省は18日、来年度に企業向けの対応マニュアルを策定する方針を決めた。従業員が精神疾患を発症するなど深刻な被害も起きており、国が標準的な考え方や現場対応策を示す必要があると判断した。来年度概算要求に1700万円を計上し、対処方法や被害者ケアも周知する。
 カスハラは客や取引先が加える暴言や長時間の抗議、土下座など過剰な要求といった迷惑行為。客としての立場を利用するため、同じ職場の人間関係を念頭に置いたパワハラやセクハラのような対策は立てにくく、苦情との線引きも難しい。
 今年6月に施行された女性活躍・ハラスメント規制法の指針は、雇用主にカスハラのマニュアルの策定や研修を求めている。しかし中小企業を中心に「抽象的で分かりにくい」と、具体的な基準や対応方法を求める声が強かった。
 労働政策研究・研修機構の調査によると「クレーム対応窓口を一元化」「会話の録音・録画」「非通知や公衆電話からの着信拒否」といった自衛策を取っている企業も多い。
 マニュアルは、こうした企業や労働組合の取り組みを参考に作成。実際にあったカスハラ事例も収集し、接客での注意点や苦情処理の方法、従業員が被害を受けた場合の企業対応をまとめる予定だ。厚労省のホームページで公開するほか、パンフレットとして労働局や労組にも配布する。

 カスタマーハラスメント(カスハラ) 顧客や取引先が立場を利用して、従業員に暴言や性的発言を加えたり、長時間の電話や大量返品要求をしたりする迷惑行為のハラスメント。近年では土下座の様子や個人情報を会員制交流サイト(SNS)で拡散させるなど、インターネット上での被害も目立つ。昨年の民間調査では、半数超の人が過去3年間にカスハラ被害が増えたと回答。労働災害の認定例や逮捕者も出ており、従業員が休職に追い込まれるなど深刻な問題となっている。

(共同)

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