<ふくしまの10年・信金の心意気「金は銀より上」>(6)熱いタッグ 温泉郷を再生

2020年10月20日 07時57分

オーストリア・ブルーマウにあるバイナリー発電所を視察する佐藤英雄さん(左端)、加藤勝一さん(左から2人目)=2015年1月、加藤さん提供

 福島市中心部から約十六キロ西南に土湯温泉がある。二〇一一年の東日本大震災後、十六あった宿泊施設のうち五施設が廃業した。
 地元の有志が震災後、再生可能エネルギーの導入と空き施設の有効利用で再生を目指している。再エネは温泉熱を利用したバイナリー発電を選んだ。加藤勝一さん(71)を社長とする「元気アップつちゆ」を設立した。社長一人、社員一人だった。
 加藤さんは「日本政策金融公庫福島支店に行ったら、担保をと言われた。福島の復興なくして、と政府は言ってるじゃないかと言うと、うちも株式会社ですからだって。私はユタンポ(湯担保)でと粘ったんだ」と笑いながら話した。
 土湯出身で当時、福島信用金庫で融資担当の役員だった佐藤英雄さんはオブザーバー役で加わっていた。
 一四年、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が借入額の80%を債務保証し、福島信用金庫が五億五千七百万円を融資した。
 バイナリー発電は一五年十一月に始まった。計画発電量の年間二百六十万キロワット時を上回る三百万キロワット時もの発電をし、収入は年間一億円を超える。「うまくいきすぎているぐらい」と加藤さんは言う。昨年は約二千五百人が見学に訪れ、半数は土湯温泉に宿泊した。
 同社は廃業施設の跡地にまちおこしセンター「湯楽座」、公衆浴場「中之湯」を建てた。従業員は三十人に増えた。
 佐藤さんは四年前、六十三歳で急逝した。「英雄に今の土湯を見せてやりたかった」。加藤さんは繰り返した。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

関連キーワード


おすすめ情報

社会の新着

記事一覧