議論の方向性定まらず 自民憲法起草委「年内原案」に慎重論

2020年10月21日 06時00分
 自民党の憲法改正推進本部は20日、国会に提出する改憲原案をつくる起草委員会で、条文化作業を進めた。先の初会合後は衛藤征士郎本部長が記者会見し、年内に原案をまとめる目標を発表したが、野党の反発を受け、今回からは協議内容は公表しない方針。菅義偉首相の意向を受け、自民党は改憲を目指す姿勢は変えていないが、党幹部から期限を区切った進め方に異論が相次ぐなど、当面の論議の方向性は定まらない。
 この日の会合では、2018年にまとめた改憲4項目のうち9条に絞って議論。出席者によると、自衛隊明記のほか、戦力不保持や交戦権否認を定めた2項の削除についても意見を交わした。今後は週2回のペースで検討を重ねるが、「途中経過を表に出すと波風が立つ」(幹部)という理由で、対外的な説明は控えることで一致したという。
 改憲原案の年内作成という踏み込んだ対応を表明しながら一転、及び腰に映る姿勢を取るのは、停滞している国民投票法改正案の審議に影響しかねないからだ。立憲民主党の安住淳国対委員長は、自民党の対応を「改憲を急いで他党を無視するなら、国会で憲法論議はできなくなる」とけん制している。
 自民党内からも改憲論議が先走ることに懸念の声が上がる。佐藤勉総務会長は20日の記者会見で、年内の原案とりまとめに関して「こだわる必要はない」と明言。世耕弘成参院幹事長も「スケジュールありきの作業はやるべきではない」と苦言を呈した。
 国会の憲法論議を巡っては、改憲を急ぐ自民党幹部の不適切な発言に野党が反発し、衆参両院の憲法審査会が開けなくなることの繰り返しだった。推進本部の1人は「他党にとやかく言われる筋合いはない」と強調するが、与野党協調を重視する自民党幹部は「足を引っ張っているとしか思えない」と不快感を示す。(川田篤志)

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