コロナ禍で少子化深刻 母胎への影響、家計不安…収束見えず妊娠ためらう夫婦が増加

2020年10月21日 06時00分
 新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、妊娠を避けようとする人が増え、少子化が一層深刻化する見通しだ。母胎に与える影響に未解明な点があり、平常時のような出産や育児が望めないことや、雇用情勢悪化による家計不安も背景にある。産婦人科医や専門家は、不安を取り除くための公的支援や経済対策の必要性を訴える。

◆不安を取り除くための公的支援を

 不妊治療をしている神奈川県の女性(35)は4月、かかりつけ医から治療過程の一部を延期すると言われた。不妊治療の専門医でつくる日本生殖医学会が同月、感染拡大を受け、治療延期を患者に勧めるよう会員に要請していた。女性が延期していた治療を受けたのは8月になってからだった。
 大阪を中心に不妊治療などを行うクリニックを運営する医療法人「オーク会」の船曳ふなびき美也子医師は、「3~6月は受診者が急減した」と振り返る。感染リスクを避けるため通院を控えたり、不妊治療を延期したりする人が多かった。
 妊娠しても里帰り出産や、立ち会い出産など、これまで“普通”だった出産方法が望めないことに不安を募らせる人も少なくない。
 経済の影響も大きい。中央大の山田昌弘教授(家族社会学)は「世帯収入が減り、子どもを持つのを控える夫婦もいる」と話す。「日本では、結婚している夫婦のほとんどが計画出産。コロナが収束して経済が回復しなければ、出生数は相当なまでに減るだろう」

◆経済面の不安にコロナが追い打ち

 東京都の産婦人科「広尾レディース」でもコロナ前に比べて妊婦の受診が減った。宗田聡院長は経済面で不安を抱える人が多いとした上で「そもそも日本の少子化対策は財政支援が乏しく、うまく機能していなかった。コロナは追い打ちを掛けただけ」と指摘する。
 妊産婦や、これから妊娠を希望する人たちの不安を、どう取り除くか。日本産科婦人科学会は、妊娠中または2020年に出産した女性が、新型コロナに関してどこに相談しているか、どのような心のつらさを感じているかなどを調査することを決めた。当事者の声を集め、対策につなげる狙いだ。

◆令和婚で出生増えると思ったのに…

 自治体も危機感を募らせる。山形県では4月以降、妊娠届だけでなく、妊娠の前段階の婚姻届も減少が目立ち始め、9月の補正予算に結婚や妊娠に関する臨時事業費約3億円を計上した。
 和歌山県は21年度の当初予算案に、妊娠に関するオンラインでの相談体制を新たに構築する事業費を盛り込む方針だ。同県の担当者は「令和婚で今年は出生数が増えると期待したが、コロナで、それどころではなくなってしまった。不安感をどう解消するか、本当に難しい」とこぼした。(共同)

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