<ふくしまの10年・信金の心意気「金は銀より上」>(7)団体旅行のいざない状

2020年10月21日 06時49分

東京からの団体客を歓迎して演奏された和太鼓=福島市のJR福島駅で

 福島市内には飯坂、土湯、高湯という三つの温泉郷がある。同市は東京電力福島第一原発から北西に六十二キロ離れているが、風評被害は今も続いている。
 福島信用金庫は震災後、全国の信金理事長あてに「温泉郷へのいざない状」を送り続けている。信金は年金友の会などの団体旅行を実施することが多い。
 効果は大きかった。二〇一二年には秋田信金の「年金友の会」の五十人が訪れた。二年後、城南信金(東京)が取引先でつくる城南友の会の会員ら四百五十人が三回に分けてきた。福島駅では和太鼓の演奏で歓迎した。一行は福島市の温泉で宿泊。翌日、会津若松市を回って帰京した。
 これまでに水戸信金や足立成和信金(東京)など十一信金から三千人余が訪れた。
 今年はNHKの連続テレビ小説が福島市出身の作曲家古関裕而がモデルの「エール」だ。期待は大きかったが、「今年も東京の信金などで計画してくれていたが、新型コロナウイルスのために中止や延期になった」と福島信金の大橋達夫常務理事(61)は残念そうだった。
 団体旅行への期待は福島市だけではない。スパリゾートハワイアンズが有名ないわき市は震災前、観光・交流人口が年間約一千万人を数えた。それが原発事故でパタリと途絶えた。
 昨年、いわき市には、城南信金の城南旅行会の約三千人が四月から五月にかけて計十三回にわたって訪問した。ひまわり信金の台正昭理事長(77)は「観光客は波及効果が大きい」と感謝していた。
 旅行で被災地を助ける、という活動が全国の信金に広がっている。訪問先も東日本大震災の被災地から熊本地震の被災地などに拡大している。被災地間の交流も生まれてきている。
◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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