【動画】ふたを開けたら…2600年前の聖職者のミイラ 絵も文字も色あせず

2020年10月21日 14時30分
 エジプト・カイロ近郊サッカラで、約2600年前の木棺59点が未盗掘状態で発掘され、10月初旬に報道陣に初公開された。木棺は「ルネサンス王朝」とも呼ばれる古代エジプト第26王朝時代のもので、木棺に描かれた絵や象形文字が「ほぼ完璧な状態」(関係者)で発見。他の時代をひもとくカギになる可能性もあり、考古学者の間で期待が高まっている。(カイロ・蜘手美鶴、写真も)

◆色鮮やか「まるで昨日描かれたよう」

 今月3日、発掘現場近くの特設会場。多数の報道陣が見守る中、木棺のふたを固定していた杭が引き抜かれ、ゆっくりとふたが持ちあげられた。中から現れたのは、約2600年前の聖職者のミイラ。黒い布にくるまれ、布に描かれた絵も色鮮やかに残っている。立ち会った考古学者は「まるで昨日描かれたようだ」と喜びの表情を見せた。

木棺に描かれた絵

 今年8月以降に相次いで発掘された木棺には、いずれも聖職者らのミイラが納められていた。サッカラは当時の聖地で、多くが埋葬先に選んだとみられる。2018年には今回の発掘現場近くで木棺製造や遺体をミイラ化する「工場」の跡地も見つかり、考古最高評議会は「付近一帯が大規模な墓地だった可能性が高い」と話す。周辺の地中では未盗掘の空間が複数見つかっており、さらなる木棺の出土が期待される。

◆時代をひもとく手掛かりに

 観光・考古省によると、木棺59点は第26王朝(紀元前664~同525年)時代に属する。学者の間では「ルネサンス王朝」とも呼ばれ、エジプト美術が発展したほか、古代王朝が残した文書や絵の修復・復元が積極的に行われたという。
 第26王朝が修復した文書などが、さらに古い時代をひもとく際の大きな手掛かりになっているといい、古代エジプト研究者のバッサム・シャマア氏は「第26王朝の考古物は特に念入りに調査される。今回の木棺は特に保存状態がよく、新たな発見につながるのではないか」と話す。

3日、エジプト・サッカラで、多くの人が見守る中、ふたが開けられた

◆観光PRもぬかりなく

 観光・考古省は発見を喜ぶ一方、新型コロナウイルスで落ち込む観光への対策もぬかりない。木棺初公開の際には、報道陣のほかに各国大使やその家族も招き、会場で発掘に至るまでの動画を見せPRした。
 木棺は今後、来年開館する「大エジプト博物館」などで展示する予定という。エジプトにとって観光は外貨獲得の柱で、国内総生産(GDP)の約12%を占める。300万人以上が働く観光業の立て直しは、政府にとって急務となる。

2600年前の木棺の中から姿を現したミイラ

関連キーワード

PR情報