「ネットの門番」の立場を乱用 米司法省が独禁法違反で提訴、グーグルは「人々の選択だ」と反発

2020年10月21日 10時56分

携帯電話に表示されたグーグルのアイコン=AP

 【ワシントン=白石亘】米司法省と11州は20日、ネット検索などの独占的な地位を維持するため公正な競争を妨げたとして、独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで、米グーグルを首都ワシントンの連邦地裁に提訴した。
 巨大IT企業に対する独禁法の訴訟としては司法省が1998年に米マイクロソフトを訴えて以来、約20年ぶりの大型訴訟となる。グーグルは反発しており、法廷闘争は長期化する恐れもある。
 訴状によると、グーグルは自らの検索エンジンをスマートフォンに初期設定する排他的な契約を端末メーカーと結び、競合する検索エンジンを締め出したとされる。米司法省のローゼン副長官は「グーグルは競争に有害な排他的な慣行を通じて、独占的な地位を維持してきた」と語った。
 これに対し、グーグルは「訴訟には重大な欠陥がある。人々がグーグルを使うのは強制されたり、他に手段がないからではなく、自らの選択によるものだ」と反発している。
 米議会も今月、グーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業に対する調査報告書を発表し企業分割を提言するなど、米国内での風当たりも強まっている。

◆検索エンジンの9割 「デジタル帝国」に歯止め掛かるか

 グーグルが独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで提訴されたのは、インターネットの入り口となる検索エンジンで9割近いシェアを持つ「ネットの門番」の立場を乱用してライバルを締め出すなど、公正な競争を妨げているとの批判が高まっているからだ。
 グーグルはキーワード検索で最も関連性の高いサイトを教えてくれることで、絶大な支持を得た。他にもGメールやグーグルマップなど10億人超のユーザーを抱える「デジタル帝国」を築いており、今や「高い壁の中にユーザーを囲い込み、ウェブそのものをのみ込むような存在に進化した」(米紙ニューヨーク・タイムズ)。
 米議会が今月まとめた調査報告書も、グーグルはネットの門番の地位を悪用したと批判。スマートフォンメーカーとの契約でグーグル検索をデフォルト(標準)に設定するよう要求し、ライバルの検索エンジンを締め出したと指摘。また、グーグルが自社コンテンツを検索結果の上位に表示し、外部のサイトを下位に降格させることで訪問者が減ったとして、独禁法の厳格化を求めた。
 そもそも検索エンジンに限らず、会員制交流サイト(SNS)などのデジタルサービスは、利用者が増えれば増えるほど利便性が高まる性質があり、独占企業が生まれやすい。経済活動がオンラインに移行する動きは加速し、「勝者総取り」の懸念がますます深まっている。
 今回、巨大IT企業の本拠地である米国の規制当局が行動を起こしたことを契機に、デジタル時代の公正な競争ルールについて世界的な議論を深めるべきだろう。(ワシントン・白石亘)

関連キーワード

PR情報

国際の新着

記事一覧