杉田水脈氏はなぜ「重用」され続けるのか 弱者に攻撃繰り返し、自民党は黙認 <寄稿・小川たまかさん>

2020年10月21日 15時00分

「フラワーデモ」で杉田水脈衆院議員の発言に抗議する参加者=3日、東京都千代田区

 「カメラの前でできない言葉や行動は、カメラのない場所でも絶対にしないでください。気をつけようと考えないで、気をつける必要のない立派な人になってください」
 これは数々のアイドルを生み出す韓国のプロデューサー、J・Y・パークの言葉。彼はアイドル候補生に向かってこう言ったのだが、この言葉を聞いてほしいのは政治家の皆さんだ。自民党の杉田水脈議員が党内の会議で、性暴力の被害者支援における民間相談窓口について「女性はいくらでも嘘をつく」と言った問題。杉田議員は当初ブログで発言を否定していたが、逃げられないことを悟ると一転して発言を認めた。同じくブログで。
 そこに記された弁解もよくわからない。杉田議員は「慰安婦関係の民間団体の女性代表者の資金流用問題の例をあげ」て、「なにごとも聖域視することなく議論すべきだと述べる中で」、問題となった「嘘」発言があったと書いている。だが、相談窓口に健全な運営を求めたいだけなら「女性は嘘をつく」と言う必要はない。また、「私の発言の趣旨は、民間委託の拡充だけではなく、警察組織の女性の活用なども含めて暴力対策を行なっていく議論が必要」とも書くが、性暴力被害に遭った人のうち警察に相談できた人はわずか3・7%(平成29年度内閣府調査)。警察への相談件数を上げるためにも性暴力被害に対応するワンストップ支援センターなどが必要である。この期に及んで、それさえも理解していない。
 この他にも「被害者が民間の相談所に相談をして『気が晴れました』で終わっては、根本的な解決にはなりません」と書いている。この「民間の相談所」はワンストップ支援センターを指すと思われる。センターは医療や法律などの専門家と連携し、性暴力被害者の相談を受けて包括的な支援をする場所。数は十分とはいえないが全都道府県に設置されており、成果を出している。杉田議員はそのことも知らないのだろうか。
 問題は、これまでも暴言を繰り返し、そのたびに支持者しか納得しない釈明を繰り返している杉田議員が、なぜその職につき続けているのかだ。世耕弘成参院幹事長は「言語道断。今回が最後だ」と語ったというが、冒頭のJ・Y・パークの言葉に倣うなら、気をつける必要が多々ある時点で資質に問題がある。
 性暴力の被害者は性別を問わず存在するが、支援の現場にいるのは女性が多い。そして当事者や支援者は、心ない声や妨害に悩まされることも多い。そのような状況を知ってか知らずか、なお被害者や支援者を揶揄するような弁解を重ねるのはなぜなのか。
 杉田議員はこれまでも「LGBTには生産性がない」「シングルマザーは自己責任」など、社会的に弱い立場の人を責め立てる言葉を重ねてきた。問題の多い議員を重用する意図は、このような発言を喜ぶ層へのアピールとしか思えない。発言の数々から、彼女がどちらを向いて発言しているのかは明らかではないか。杉田議員は差別をしたい人たちが喜ぶ発信を行い、自民党はそれを黙認している。
 辞職を求めるオンライン署名は13万6000筆以上集まっているが、野田聖子幹事長代行は受け取りを拒否した。このまま幕引きを狙っているのだとすればさらに強く抗議する。自民党が説明責任を果たすことを強く望む。
 (おがわ・たまか=ライター、著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』)

小川たまかさん


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