コロナ便乗!? 宇宙関連予算5割増で要求 「無理やり結び付けている」の声

2020年10月22日 06時00分
 政府が12月に閣議決定する2021年度予算案に向け、各省庁による宇宙関連予算の要求総額が、過去最大の5400億円となったことが分かった。宇宙で必要な遠隔操作の技術が、工場の自動化など新型コロナウイルスの感染防止に活用可能との理由で、本年度予算から5割増となった。だが、コロナ対策への技術転用には数年はかかるとみられ、「便乗予算だ」との批判が上がっている。 (大島宏一郎)

◆3000億円台から一気に5400億円

 宇宙関連予算について各省庁の概算要求を集計した内閣府の資料で明らかになった。これまでの予算額は3000億円超で推移してきたが、今回は文部科学省だけで2800億円を要求している。
 政府は昨年10月、月面探査を目指す米国主導の国際プロジェクト「アルテミス計画」に参加することを表明。これを受け、ロケットで打ち上げ国際宇宙ステーションに水や食料などの物資を運ぶ無人補給機の開発費などを文科省が盛り込み、これまでの予算額と同じように3000億円超で推移してきた要求額も膨らんだ。

◆遠隔操作が感染防止に…を理由に

 予算要求を巡っては、財務省は7月、コロナ対策など「緊要(緊急に必要)な経費」だけ前年度からの増額を認める方針を示している。コロナ対策との関連について、文科省の担当者は「無人の補給機を動かす技術は、工場の自動化に取り入れられるので、人と人の接触を減らす感染防止策に役立つ」と説明。各省の宇宙政策を統括する内閣府の担当者は通信環境が向上するとして「遠隔医療や遠隔教育などにも導入できる」と強調する。

◆実際の打ち上げは22年度なのに

 だが、遠隔技術に転用可能な補給機の打ち上げは22年度の予定で、この事業が「コロナ対策だ」という説明を疑問視する声が上がっている。ある政府関係者は「宇宙開発の技術をコロナ対策に生かすには数年かかる。中小企業支援や医療体制の整備など、今必要な事業に予算を回すべきだ」と話す。
 財務省出身で東京財団政策研究所の森信茂樹・研究主幹は「無理やりコロナ対策に結び付けていると言わざるを得ない」と指摘。その上で「これまでのコロナ対策の効果と課題を検証し、不要不急の事業が何かをもっと具体的に定めるべきだ」と提案している。

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