グーグルが検索シェア9割死守に年1兆円 米司法省がアップルへの支払いを明らかに

2020年10月21日 19時08分

携帯電話に表示されたグーグルのアイコン=2017年4月(AP=共同)

 米司法省と11州が20日、反トラスト法(独占禁止法)違反で米グーグルをワシントン連邦地裁に提訴した。グーグルはネット検索で9割近いシェアを握る独占的な地位を守るため、アップルに年1兆円を払う契約を結び、ライバルを不当に締め出したことも明らかにした。米IT大手に対する独禁法訴訟ではマイクロソフト以来、約20年ぶりの大型案件となる。訴訟の行方次第では事業分割を迫られたり、日本など海外のユーザーにも影響するとの見方もある。(ワシントン・白石亘)
 訴状によると、グーグル社内では、アップル製品で検索エンジンの標準設定の座を守るのは生命線だった、と指摘。昨年、グーグルの全検索件数のうちほぼ半分は、アップル製品から流入したという。検索ビジネスにとって、ユーザーの規模拡大は、検索の質を高め、広告を増やす好循環につながる。

◆グーグル検索を標準設定

 グーグルはアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などに使われるネット閲覧ソフト「サファリ」でグーグル検索を標準設定にしてもらうため、広告の利益を分配した。支払額は年80億ドル~120億ドル(約8400億円~約1兆3000億円)で、アップルの年間利益の15~20%を占めると推定。アップル幹部はグーグル幹部に「われわれのビジョンは両社が一つの企業のように協力することだ」と伝えた。
 検索ユーザーを囲い込む巨大IT企業の「密約」を問題視する司法省は「標準の検索エンジンを変更する人はほとんどいない。それがグーグルが大金を払う理由だ」と指摘。一方、ライバルの検索エンジンには、この排他的な契約が参入障壁となり、ユーザー数を獲得できず、消費者は選択肢が減り、広告料金に競争原理が働かないと批判した。

◆「グーグルが最高」と反論

 これに対し、グーグル側は「アップルがグーグル検索を搭載するのは、グーグルが最高だからだ」と真っ向から反論。「検索エンジンを変更するのも簡単だ」と一歩も引かない構えだ。
 司法省幹部は記者団に「すべての選択肢を排除していない」と述べ、グーグルから一部の事業を分割することも視野にあることを示唆した。
 オバマ政権で司法省幹部を務めたエール大のフィオナ・スコット・モートン教授は本紙の取材に「グーグルのように世界中で事業を展開し、かつ多くの国の規制当局が競争上の懸念を持ち、それを補完できる救済策が講じられる可能性のある状況はこれまでになかった。和解条件など結果次第では、米国以外のユーザーにも影響する可能性がある」と語った。

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