正造の治水論 現代のヒントに 記念館で洪水テーマの企画展 館林で

2020年10月22日 07時30分

地図や古い写真、資料で正造の調査を伝えている=館林市で

 NPO法人が運営する館林市大手町の足尾鉱毒事件田中正造記念館(針ケ谷照夫館長)で、企画展「洪水−むかし 今 これから」が開かれている。明治末期に起きた関東大洪水(関東大水害)の被災地を老骨にむち打って巡った田中正造(1841〜1913年)の足跡とその治水論などを紹介している。 (梅村武史)
 「昨年の台風19号は現代人にさまざまな問題を提起した。正造の思いを学ぶことは今を生きるわれわれの考えるヒントになる」と企画を担当した松本美津枝副理事長(84)は語る。
 注目は「むかし編」。関東だけで死者七百人超、家屋全壊・流失約五千戸の被害が出たと伝わる一九一〇(明治四十三)年八月十一日の関東大洪水に焦点を当て、フィールドワークを行った正造の「河川巡視日記」を基に構成した。
 当時の正造は六十九〜七十歳。発生直後から一年以上かけて群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉の五県を巡り、利根川、渡良瀬川、鬼怒川などの被災地の人々と交流しながら個々の逆流、破堤状況を記している。
 調査した範囲は広大で「たて三十里 よこ四十里から二十七・八里の間」(正造の講話草稿より)。展示では、大きな河川地図に調査地点を落とし込み、当時の洪水に苦しむ人々の写真も添えた。
 「三分の二は人為的洪水なり」など日記に記された正造の治水論もひもとき、人間が制御しきれない自然への畏怖が伝わってくる。調査は「真の文明ハ山を荒(あら)さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さゞるべし。」(一九一二年の日記)という持論を補強する経験になったとされる。
 台風19号被害状況やその後の自治体の対応、刷新されたハザードマップなども展示。学術的研究や新たな防災の取り組みも新聞記事などで紹介している。
 企画展は来年三月末まで。火、木、土、日曜のみ開館。時間は午前十時〜午後四時。入場無料。問い合わせは同館=電0276(75)8000=へ。

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