<ふくしまの10年・信金の心意気「金は銀より上」>(8)ネットワークで助け合う

2020年10月22日 07時47分

大勢の来場者でにぎわう「よい仕事おこしフェア」会場=東京都千代田区の東京国際フォーラムで

 城南信用金庫(東京)は東日本大震災の翌年二〇一二年から「被災地支援、地域連携、地方創生」をテーマに「よい仕事おこしフェア」を毎年、東京で開いている。昨年の第八回は二百二十九の信金が協賛して二日間で四万七千人余を集めた。
 被災地支援が目的で始まったが、今では「日本を明るく元気に」がメインになっている。各地の企業や団体の製品やサービス、技術などを展示し、商談が行われる。地方の企業にとっては情報発信の貴重な機会だ。さらに「よい仕事おこしネットワーク」というサイトを作って、いつでも利用できるようにした。
 地方の企業はいい物を作っても、情報発信力が弱いために気付かれないことがある。共同でやればうまくできるのに、気付かないこともある。
 たとえば、福島県いわき市のトラスト企画は、貝殻を原料にした抗菌素材を開発した。しかし、原発事故の影響で原料の確保に苦労した。
 同市のひまわり信用金庫がネットワークを通じて貝殻の提供先を探し、千葉県の水産物卸売業者の藤代商店を見つけた。藤代商店はハマグリの貝殻を産業廃棄物として有料で処分していた。トラスト企画は原料が確保でき、藤代商店は無料で廃棄物が処理できるという、双方にメリットのある取引が成立した。
 この技術は今年、いわき産学官ネットワーク協会から産業イノベーション創出支援事業に採択された。
 ひまわり信金は今年、熊本県産ランニング足袋「KANAKURI」二十足を購入し、地元の和太鼓演奏団体いわき鼓童会に寄贈した。足袋は一足約一万円の特注品。同信金が熊本地震の復興支援として、熊本中央信金の紹介で購入を決めた。助けられるだけでなく、助ける側に回るときにも役立っている。
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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