核兵器禁止条約の発効目前に圧力…アメリカが複数の国に批准撤回求める

2020年10月22日 10時43分

原爆ドーム=7月、広島市中区で

 【ニューヨーク共同】核兵器の保有や使用を全面禁止する核兵器禁止条約に反対する米国が、複数の条約批准国に、批准を取り下げるよう求める書簡を送っていたことが分かった。AP通信が21日伝えた。禁止条約が発効に必要な批准数50まであと3カ国・地域に迫る中、条約発効の影響を懸念した米国が批准国に圧力を加えた形だ。
 書簡は「核禁止条約を批准する国家主権は尊重するが、それは戦略的な誤りであり、批准を取り下げるべきだと考える」と強調している。禁止条約は「核軍縮に関して時計の針を戻す」ものだとし、核拡散防止条約(NPT)体制にとって「危険な」存在だと訴えた。
 条約を推進する非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のフィン事務局長はAPに対し、条約発効が近づく中で「一部の保有国、特にトランプ米政権が神経質になり、恐らくパニックに陥っている」と指摘。「保有国は、核兵器が間もなく国際法で禁じられることが現実になると理解しているようだ」と語った。
 NPTは米英仏ロ中の核保有を認める。保有国側は段階的な核兵器削減を主張し、核兵器禁止条約に強く反対している。米国の「核の傘」に頼る日本などは禁止条約に参加していない。

◆ICAN事務局長「50カ国・地域の批准、数日以内にも」

ICANのベアトリス・フィン事務局長=2日、スイスのジュネーブ(共同)

 【ジュネーブ共同】核兵器禁止条約の採択をけん引し2017年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長(37)は21日、条約発効要件となる50カ国・地域の批准について「目前に迫っている」と述べ、数日以内に達成される可能性もあるとの期待を表明した。
 ICANなどは日本時間23日夜にオンラインで批准を呼び掛けるイベントを開催し、早期発効に向けた機運を高める。
 国連欧州本部記者会(ACANU)とのオンライン記者会見でフィン氏は、現在47カ国・地域の条約批准についてさらに一つの増加が確実になったと明らかにした。「核保有国から空前の圧力が(各国に)かけられてきた中で、着実に批准が進んできた」と評価している。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が来年夏に再延期される可能性が出ている点に関しては、オンライン形式で決行するより、延期してでも通常の対面方式での開催が好ましいとの認識を示し、延期してもNPT体制下での核軍縮には「さほど大きな影響は出ないと思う」と語った。

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