苦境続くライブハウスを救え! 音楽ファンがクラウドファンディングで業界全体を支援

2020年10月22日 17時00分
 新型コロナウイルスの影響でライブハウスの苦境が続いている。「GoToトラベル」などで観光地や繁華街に人が戻りつつある一方、人数制限の緩和が見送られ、出演者と来場者は思うように戻らない。危機感を強めたファンは、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)で、全国各地の店舗を救う取り組みを始めた。(米田怜央)

◆演劇、クラシックは人数制限緩和されたのに…

ステージと客を離すための柵が置かれた「横浜セブンスアベニュー」で、ライブハウスの苦境を語る椙江さん=横浜市中区で

 中華街や横浜スタジアムに程近い場所にある老舗ライブハウス「横浜セブンスアベニュー」(横浜市中区)。今月上旬のある夜、弾き語りで出演した市内の女性(39)の伸びやかな声が響いた。しかし、演奏を終えると、厳しい表情に。「会社から『ライブハウスに行くな』と言われ、隠れて活動を続けているが、私のライブに同僚を誘うこともできない」。フロアの客は10人に満たない。
 経営者の椙江茂起すぎえしげきさん(62)によると、緊急事態宣言発令中の4、5月、営業自粛のため売り上げは例年の1割未満だった。現在ほぼ毎日店を開けるが、半分にも届かない。2月に大阪市内のライブハウスでクラスター(感染者集団)が発生し、注意を呼び掛ける報道が続いたことで「ライブハウスがコロナを象徴する場所になってしまった」。有名バンドほど世間の目を気にして出演をためらうという。
 同店を支援するCFには5月までに350万円が集まったが、家賃と人件費であっという間に消えた。「迫力がなくなる」と敬遠してきたライブ配信にも挑戦し、生き残りに手を尽くしている。
 政府は9月、定員5000人以下に限ってクラシックコンサートや演劇の人数制限をなくしたが、ライブハウスは定員の50%以内を維持した。椙江さんは「消毒や換気など基本の対策は徹底している。納得できない」と憤る。

支援先のライブハウス経営者の似顔絵が描かれた「セーブライブハウス・エイド」の画像=©2020 SAVE LIVEHOUSE AID 

 先が見えず廃業する店が相次ぐ懸念が高まる中、ミュージシャンの絵を描いてきたアーティストが発起人となり、全国の100店以上を支援するCF「セーブライブハウス・エイド」が始動した。3000円から寄付でき、金額に応じてTシャツやハーモニカがもらえる。
 実行委員会を立ち上げたCMプロデューサーの三浦英男さん(58)は「個々の店だけでなく、全体を支援する大きな流れをつくりたい」と話す。企画に賛同するミュージシャンらによるライブ開催も目指す。
 横浜セブンスアベニューも支援先の1つ。椙江さんは言う。「街の歴史と空気を伝える場所。どれだけ苦しくても、つぶすわけにはいかない」
 セーブライブハウス・エイドは、CFサイト「モーションギャラリー」から参加できる。12月29日まで。問い合わせは三浦さん=電090(2936)5454=へ。

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