高齢化で「自力で運べない」…ごみ出し難民増加 自走式ロボットで戸別回収構想も

2020年10月22日 18時00分
市清掃事務所の職員に自宅前でごみを回収してもらう1人暮らしの女性(右)=前橋市の旧宮城村地区で(共同)

市清掃事務所の職員に自宅前でごみを回収してもらう1人暮らしの女性(右)=前橋市の旧宮城村地区で(共同)

 日々のごみ出しが困難な高齢者が増えている。体力の衰えや病気で集積所まで自力で運べず、家にごみがあふれて不衛生な暮らしに陥る例も。各戸を訪れて回収する地方自治体もあるが、人的、財政的な課題も抱える。高齢化が進む中、対応は急務で、国は財政面での配慮に加え、将来的には自走式ロボットで戸別回収する構想も描く。

◆集積所は1キロ先…「戸別回収なければどうやって」

 「これも持って行って」。一軒家が点在する前橋市の旧宮城村地区。2年前に夫を亡くし1人で暮らす女性(83)が、市職員にごみを回収してもらっていた。70代でパーキンソン病を発症。体が弱く約1キロ離れた集積所まで運べない。「支援は大助かり。なければどうやって暮らせばいいか」
 市は2011年から、要介護・要支援認定を受けた高齢者らの世帯を対象に週1回、戸別回収を実施。安否確認も兼ねており、今年3月末時点での利用は市内約15万世帯のうち1000世帯を超える。
 05年から支援を始めた北海道小樽市では、回収時に倒れている人を見つけて救急搬送につなげたこともあったという。

◆人手不足と財政難がハードルに

 環境省が行った19年の全国調査によると、回答を得た1648市区町村のうち、同様の支援をしているのは23.5%。訪問介護を使っていても、集積所へのごみ出しは種類ごとに決まった収集日の早朝に限られる場合が多く、その都度ヘルパーに頼むのが難しいことが背景にある。
 回答した自治体の87.1%は「高齢化でごみ出し困難な住民が増える」と危機感を抱くが、支援のハードルとなるのが人手不足と財政難だ。
 職員や委託業者が戸別回収する長崎市は、40年には対象が3140世帯に膨らむと見込み「地域の共助の仕組みも検討したい」と打ち明ける。
 自治会などから募った回収協力員に1回150円を支給する新潟市は、支援する側も高齢化する中で活動を維持できるかどうかを懸念。「市の直接回収に切り替えると多額の予算が必要。いろんな組み合わせを考えないといけない」という。

◆コロナを機に高まる自動化の必要性

 苦慮する自治体に対し、国は経費の一部を特別交付税で手当てしているほか、収集員や業者、自治会、NPO法人などによる支援の仕組みづくりを促している。
 環境省が切り札になると期待しているのが、収集の「自動化」だ。台車のような自走式ロボットが対象世帯を巡回。軒先でごみを載せてもらって集積所まで運ぶ構想だ。
 収集員の新型コロナウイルス感染対策のため、集積所のごみ袋を機械で収集車に積み込むシステムを先行して実用化する計画で、来年度から実証事業に乗り出す。将来は、各戸から収集車まで一連の回収作業を自動化できる可能性もあるとみている。
 早稲田大の小野田弘士教授(環境工学)は「コロナを機に自動化の必要性が高まっている。地域の特性に合わせてテクノロジーを活用し、高齢化に伴う課題の解決につなげるべきだ」と語る。
(共同)

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