トトロの森 30年の歩み 「ふるさと基金」が出版 「自然を守る勇気 届ける」

2020年10月23日 07時11分

トトロのふるさと基金の歩みをまとめた書籍「トトロの森をつくる」を手にする荻野さん(右)と北浦さん=いずれも所沢市で

 県南西部と東京都にまたがる狭山丘陵と周辺地の緑地取得を進めている「公益財団法人トトロのふるさと基金」が、三十年の歩みを振り返る書籍「トトロの森をつくる」を出版した。一九九〇年の発足以来、取得地は計五十四カ所で十万平方メートル超。専務理事の荻野豊さん(72)は「確かな足跡は残せた。丘陵保全のため、若い世代に活動を引き継いでいかなければ」と意気込みを新たにしている。 (加藤木信夫)
 荻野さんによると、基金発足当時、バブル経済の負の遺産として、一帯では森林の乱開発が続いていた。ダンプカーが列をなして走り、ホタルやサンショウウオが生息する貴重な湿地が侵食されていたという。同書には「都心から近く、谷間のある狭山丘陵の地形が、開発であり余った建設残土を投げ捨てるには最適の地であった」とある。
 心を痛めた荻野さんら有志二十二人は、美しい自然を取得して保全するナショナル・トラスト活動を開始。広く寄付を募り、九一年八月に一号地の買い取りを実現させた。当時、小学六年生の女子児童から、千円札とともに「新聞を読んで、これだと思い、お小遣いから出しました」と手紙が届き、勇気づけられた。
 また、アニメ映画「となりのトトロ」の舞台が所沢市近郊の田園風景をモチーフにしていることから、同作品の監督で市在住の宮崎駿さんに「活動のシンボルとしてトトロの名称を使わせてほしい」と願い出た。無理を承知の上だったが、「いいですよ」と快諾してもらえたという。宮崎さんは基金の顧問に就任し、今回の「トトロの森−」にもメッセージを寄せている。
 「宮崎さんをはじめ多くの人に支えられ、ここまで来ることができた」と荻野さん。事務局長の北浦恵美さん(55)は「本には先達の皆さんの思いが詰まっていて、多くの人に自然を守る勇気を届けることができると思う。ぜひ手に取ってほしい」と呼び掛ける。
 千七百六十円(税込み)。書店やネット通販、同基金のHP(名称で検索)などから購入できる。問い合わせは同基金=電04(2947)6047=へ。

トトロのふるさと基金が今年7月に取得した54号地(基金提供)


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