ドローン戦争の時代到来 無人機で戦火拡大「死者5000人」とプーチン氏

2020年10月23日 19時23分

◆ナゴルノカラバフは最新兵器の実験場化

 【モスクワ=小柳悠志】係争地ナゴルノカラバフを巡り、ロシアのプーチン大統領は22日、アルメニアとアゼルバイジャンの戦闘で死者が「両国合わせて5000人に近づいている」との独自情報を明らかにした。アゼルバイジャンが最新兵器を投入するなどして、戦闘が拡大しており、犠牲者が急速に増えている可能性がある。

アゼルバイジャン軍が使用している無人攻撃機「TB2」=トルコ防衛産業局公式サイトから

 アゼルバイジャンは軍事衝突が勃発した9月下旬から無人攻撃機を投入し、ナゴルノカラバフ南部を奪還。アルメニアが配備したロシア製の地対空ミサイル「S300」や戦車を見つけだし、レーダー誘導弾で破壊している。
 ロシアの軍事評論家パーベル・フェルゲンガウエル氏は「ドローン戦争の時代が到来した」と話し、現地が最新兵器の実験場となっていると憂う。
 アゼルバイジャン軍の無人攻撃機の主軸はトルコ製の「TB2」。内戦が続くシリアやリビアでも投入され、その性能の高さから「軍事ドローン界のスター」(英BBC放送)と称される。イスラエル製無人機も投入している。

◆大統領選前に成果求めるトランプ政権が停戦仲裁へ

 アゼルバイジャンは石油と天然ガスの産出国。2000年代以降、原油輸出で得た資金で軍備拡張を急いだ。人口約1000万の国にもかかわらず、ストックホルム国際平和研究所によると、14~18年の武器輸入で世界23位に付ける。武器の主な調達先はロシア、イスラエル、トルコだ。
 一方、アルメニアの武器調達は軍事同盟国のロシア頼み。1990年代初頭のナゴルノカラバフ紛争では事実上の勝利を収めたが、今回は守勢に回っている。22日現在、兵士だけで900人余が死亡した。

17日、ナゴルノカラバフのステパナケルトで、破壊された建物の前で肩を寄せ合う地元住民ら=AP

 アルメニアのパシニャン首相は「ナゴルノカラバフは数千年前からアルメニア人が居住する」と主張。「外交的な解決はない。国民は祖国防衛のために武器を取れ」と鼓舞している。
 アゼルバイジャンは民間人60人余が犠牲になったと発表しているが、兵士の死者数は公表していない。
 23日にはアルメニアとアゼルバイジャンの両外相が米国でポンペオ米国務長官と会談する予定。米大統領選を前に、外交成果を得たいトランプ政権が停戦を仲介するとみられる。

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