コロナ、温暖化など真逆の主張「2つの米国」浮き彫り 米大統領選最終討論会

2020年10月24日 06時00分
 共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領による最後の候補者討論会は、「史上最悪」といわれたののしり合いとなった前回から一転、互いに抑制を保ったものの、死者が世界最多の22万人に上る新型コロナウイルス対策で真逆の意見を戦わせるなど、「2つの米国」に分断された姿を一層浮き彫りにする内容となった。(ワシントン・金杉貴雄、岩田仲弘)
 「流行は峠を越し(ウイルスは)消えつつある」「コロナと共に生きることを学んでいる。ワクチンも数週間でできる」―。トランプ氏は冒頭、コロナは克服でき、すぐ日常に戻れると言わんばかりに力説した。
 トランプ氏の狙いは、バイデン氏に任せれば厳しい感染対策で経済が壊滅する印象を視聴者に植え付けることだった。「ニューヨークはゴーストタウン、ペンシルベニアは刑務所のようだ。私はジョー(バイデン氏)のように地下室にいるわけにいかない。人と会わないといけない」と、経済再開をアピールした。
 これに対しバイデン氏は現在でも1日平均6万人が感染し1000人が死亡する現実を強調し、「コロナと共に生きるって? 人々は亡くなっているのだ」と楽観論を繰り返すトランプ氏を批判。カメラを見据えながら「朝起きたら、食卓の椅子に座っているはずの家族がいないのだ」と遺族に寄り添う姿勢を打ち出した。これにはトランプ氏も「私の落ち度ではなく、中国のせいだ」と責任転嫁するほかなかった。

◆カギ握るラストベルトの有権者はどう聞く?

 勝敗のカギを握るペンシルベニア州やオハイオ州などラストベルト(さびついた工業地帯)の有権者を意識したさや当ても演じられた。仕掛けたのはトランプ氏。脱炭素を目指すバイデン氏の政策を「経済的災害だ」と攻撃。さらにシェールガスや石油を採掘する「フラッキング(水圧破砕法)」を支持するかどうか追及した。
 バイデン氏は労働者票を意識しつつ「反対したことは1度もない」と否定。一方、脱炭素は党内リベラル派が重視する政策だけに「地球温暖化は人類にとって現実的な脅威だ」とも強調し、「石油業界への補助金を止め、時間をかけ再生エネルギーに移行する」と明言した。
 トランプ氏は「これは大きな声明だ。彼は石油業界を破壊するつもりだ」とたたみかけた。今後、ラストベルトでの選挙戦で攻撃材料にするとみられる。

◆バイデン氏の次男スキャンダルは不発

 トランプ氏はさらに、バイデン氏の醜聞を暴こうと、同氏の次男がロシアから350万ドル(約3億7000万円)を受け取り、ウクライナのガス会社の幹部をバイデン氏に紹介した―といった疑惑を取り上げ攻撃を試みたが、バイデン氏は不正はないと強く否定したため、不発に終わった。
 ミズーリ大のミッチェル・マッキニー教授は、トランプ氏の試みについて「バイデン氏をうろたえさせることはできなかった」と指摘。「(劣勢の)トランプ氏が必要としていた選挙戦の構図を根本から変えるような内容ではなかった。このためバイデン氏は勝利を主張できるだろう」との見方を示した。

PR情報

国際の最新ニュース

記事一覧