足立区が「事実誤認」で生活保護を廃止、男性追い出しに支援団体が抗議

2020年10月23日 23時08分

困窮者支援団体が抗議文を提出した足立福祉事務所=同区で

 東京都足立区が、生活保護の利用が決まっていたアフリカ出身の日本国籍男性(38)の所在が不明になったとして生活保護を取りやめたため、男性が宿泊先のホテルから追い出され、一時、路上生活を余儀なくされたことが分かった。支援団体は「男性は毎日ホテルに宿泊しており、区は事実を誤認している」と、区に抗議文を提出した。 (中村真暁)

◆携帯電話なく連絡取れず「所在不明」に

 男性は仕事がなくなるなどして家賃が払えず、5月ごろから路上生活になった。8月から都内の物流センターで働き始めたが、心配した上司が困窮者支援の36団体による「新型コロナ災害緊急アクション」に連絡。男性は緊急アクションの支援を受けて、10月8日に同区での生活保護利用が決まった。
 区や抗議文によると、男性は携帯電話がなく、区の担当者は10月8、9両日、男性に生活保護の開始決定を伝えるため計3回、一時宿泊先のホテルに電話した。男性は不在で、区の担当者はホテル職員に「電話してください」と男性へのメモを託した。担当者は12日にも電話をしたがつながらず、連絡もなかったため生活保護の取りやめを決定し、男性は同日夕方にホテルから追い出された。

◆足立区「適切だった」

 区の担当者は「メモが読まれた形跡がなく、部屋には荷物もなかったので、男性が帰ってきていないようだとホテルから聞いていた。個人情報のため職場には連絡しなかった。対応は適切だった」とする。
 一方で、緊急アクションによると、男性はこの間、毎日午前6時には唯一の荷物であるリュックサックを持ち、仕事のためホテルを出ていた。ホテルの人からメモを受け取り、電話しようとしたが、方法が分からなかったという。

◆「確認不足、廃止も慎重に判断を」

 緊急アクションの瀬戸大作事務局長は「勤務先や支援者にも確認せず、早計に支援を打ち切った」と批判。緊急アクションに参加する生活保護問題対策全国会議の田川英信・事務局次長は「生活保護の廃止は人の生き死にに関わり、慎重に判断すべきだ」と指摘した。
 男性はホテルを出てから2泊、野宿をしたが、その後は緊急アクションの支援を受けてホテルに宿泊。21日には再度、同区で生活保護を申請した。区の担当者は来週にも利用の可否を判断するとした。

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