コロナのデマや誹謗中傷防げ ネット上をパトロール、法務局に通報 自治体が取り組み

2020年10月25日 05時50分

組みひもで作ったシトラスリボンを身に着ける浜松市職員=浜松市で

 各地で起きる新型コロナウイルス感染者や医療従事者への差別や誹謗中傷。地域で初めて感染者が出たり、クラスター(感染者集団)が発生したりした際に起きやすく、少なくとも20自治体が対策として差別を禁じる条例を成立させ、ネット上での差別的な投稿を見回る自治体もある。差別をなくそうと呼びかける「リボン運動」も広がり始めた。(太田理英子)
 「この顔に、ピンときたらコロナ注意」。愛媛県今治市では7月、市内で初めて感染者が出て、顔写真付き中傷ビラがまかれた。まいた男2人は今月、名誉毀損容疑で逮捕された。

◆岩手県知事「鬼になる必要性もある」

 県単位で最後まで「感染者ゼロ」が続いた岩手県では7月末、初感染者の勤務先に「行動が軽率」「会社の管理がなっていない」といった電話やメールが2日間で100件以上寄せられた。達増拓也知事が「誹謗中傷は犯罪に当たる場合があり、鬼になる必要性もある」と表明し、県がネット上の投稿チェックなどを続けると、誹謗中傷はやんだ。
 東京都では差別禁止の条例を成立させた4月、感染者が急増していた。当時、医療従事者の子どもが保育施設に通えなくなったり、中国・武漢からの帰国者らへの差別の懸念が高まっていた。都の担当者は「当時はウイルスのえたいが知れず、不安から排除につながりやすかった」と話す。
 今月22日現在で感染者が出ていない島根県美郷町は、今月中に差別を未然に防ぐ目的で議会へ条例案を提出する方針。町の人口は約4500人。町担当者は「感染者が出るとうわさが広がりやすい。地域として手を差し伸べられるようにしたい」と話した。

◆場所を特定する投稿が相次ぎ

 8月に条例が成立した鳥取県は感染者の情報やデマの投稿を調べる「ネットパトロール」を行っている。9月上旬、同県米子市の建設業者宿舎でクラスターが発生し、宿舎を特定する投稿が相次いだ。発見次第、投稿や画像を保存。被害者が申し出れば、提訴の証拠として提供できる。県広報課担当者は「冬になるとまた感染が増える可能性もある。継続して警戒する」と話す。

◆プロバイダーに削除依頼「抑止効果になっている」

 8月に高校の寮で100人超の感染者が出た島根県では、生徒の集合写真などがネット上で拡散された。県から通報を受けた地方法務局は、13件のうち4件の削除依頼をプロバイダー(接続業者)に要請。最近は書き込みがなく、県担当者は「抑止効果になっている」と話す。
 年内に差別禁止の条例成立を目指す三重県の教育委員会は、感染者が出た学校に関する書き込みを毎日チェックしている。危険度を4段階に分け、内容によって学校に連絡。悪質なら地方法務局や県警に通報する。

差別解消シンボルとして広がりつつある「シトラスリボン」(ちょびっと19+提供)

◆愛媛発「シトラスリボンプロジェクト」

 一方、「コロナ差別」をなくすため、愛媛県の有志が4月に始めた「シトラスリボンプロジェクト」が全国に広がっている。愛媛県特産のかんきつをイメージした黄緑色のリボンで、地域と家庭、職場(学校)を示す3つの輪を作る。
 差別や偏見をなくす意思表示として身に着けてもらう運動で、浜松市や千葉県館山市で職員がリボンを身に着けるなど、各地でリボンを作る取り組みが増えている。
 「こんなに広がるとは思ってなかった」とプロジェクト共同代表の甲斐朋香・松山大准教授。「コロナ後を見据え、『安心の目印』のリボンを増やしたい。地域のセーフティーネットにもなってくれれば」

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