豪雨被害から1年「いまさら!?」 千葉市の傾斜地は「土砂災害警戒区域」

2020年10月25日 07時28分

20日にあった犠牲者2人への献花式の後、崩落現場を見上げて立ち去らない遺族や被害住民ら=千葉市緑区誉田町で

 県内で十二人が犠牲になった昨年の記録的豪雨から二十五日で一年となる。土砂災害で住民二人が死亡した千葉市緑区誉田(ほんだ)町の住宅地は「土砂災害警戒区域」の指定対象外とされていたが、県が今年実施した現地調査で傾斜角度三〇度以上など基準を満たしていたと確認された。県は指定を急ぐが、住民から「遅すぎる」「なぜ、いまさら」と困惑の声が相次ぐ。 (中谷秀樹)
 国土交通省や県によると、土砂崩れが発生した誉田町三丁目の傾斜地は、県が二〇〇一年ごろ、当時標準的な手法だった縮尺二千五百分の一の紙の地図の標高線などを基に傾斜角度を分析したところ、二四度と判断され、危険箇所とされていなかった。だが災害後、国交省が航空レーザー測量による高精度の地形情報で警戒区域の基準を満たしていた可能性が極めて高いことが判明。これを受け、県は今年九月までに現地調査を行い、三〇度以上と確定した。住民や地権者に指定範囲を文書通知し今後、来年三月までに現場周辺の南北三百メートルの危険箇所を土砂災害警戒区域に指定する。
 この地域は昭和末期から平成にかけて宅地造成が進んだ地域で、持ち家が指定区域に含まれる住民たちは戸惑いを隠さない。被災現場近くのある民家は一定の開発制限が発生する「土砂災害特別警戒区域」(レッドゾーン)に含まれた。所有する男性(69)は三十五年前にマイホームを建てた。「不動産会社に勧められて土地を買ったが、まさかこうなるとは思いも寄らなかった。土地の資産価値もゼロに等しくなる」と憤り、別の地域に引っ越す考えという。
 四十代の夫婦は十年前に購入した崩落現場の高台にある中古住宅が指定区域に含まれた。「一生暮らす場所と思って買った。地盤はしっかりしていると聞いていたのに」と困惑気味。別の女性(85)は「行政が開発を許可した場所でいまさら危険と言われても」と口にした。
 国交省によると、昨秋の一連の台風や豪雨で土砂災害被害が生じた二百五十九カ所のうち、調査対象漏れは誉田町を含めて全国五十一カ所。これを受けて同省は八月に土砂災害防止法の対策方針を見直し、指定に当たって高精度の地形図の活用を明文化して盛り込んだ。

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