<各駅停車>絵のうまさ

2020年10月25日 07時31分
 先日、神社に奉納する絵馬を描いた堀江淳夫(じゅんぷ)さん(78)=羽生市発戸=に、いつ絵の腕を磨いたのか質問すると、意外な答えが返ってきた。「会社の人事だったから」。なぜ人事にいると絵がうまくなるのか。
 堀江さんは定年退職まで地元のブレーキメーカーで採用担当を務めた。製造業が売り上げを年々伸ばし、どの会社も人材獲得にしのぎを削った時代。堀江さんは東北各地の高校を訪れ、進路指導の先生に会社の魅力を説明した。
 しかし、「あいさつだけでは印象に残らない」と考えて始めたのが、はがきに自筆の絵を添えて送ることだった。訪れた高校の花壇や町の風景。一日、五校、六校と回った後、宿泊先の旅館でくつろぐ前に色鉛筆を走らせた。
 再び高校を訪れると「丁寧なはがきをありがとう」と迎えられ、採用の足掛かりができた。現役時代に描いたはがきはおよそ五千六百枚に上るという。巧みな技術の裏にあった努力と熱意。「人事だったから」の答えに納得した。 (寺本康弘)

関連キーワード

PR情報

埼玉の最新ニュース

記事一覧