核禁条約参加と「核の傘」依存、法的制約なし 公明もオブザーバー参加要求

2020年10月25日 22時52分
 発効が決まった核兵器禁止条約について、日本政府は、米国の核兵器に守られる「核の傘」に依存する安全保障政策を理由に反対している。しかし、日米安保条約に核兵器に関する記述はなく、政治決断次第で、条約に参加しつつ日米同盟を維持することは可能との主張は根強い。発効決定を機に、条約に背を向ける日本の姿勢に批判が強まるのは確実だ。(柚木まり)

◆閣僚ら「抑止力維持」を強調

 「核禁条約が目指す核廃絶のゴールは共有しているが、わが国のアプローチとは異なる」
 加藤勝信官房長官は23日の記者会見で、条約参加を改めて否定した。核廃絶で「戦争被爆国として、国際社会の取り組みをリードする」としながらも、北朝鮮の核開発などを念頭に「抑止力の維持、強化」を強調。米国による「核の傘」が必要との立場を鮮明にした。岸信夫防衛相も25日、記者団に「核保有国が乗れない条約になっており、有効性に疑問を感じざるを得ない」と話した。
 その「核の傘」は、安保条約の運用を記した日米ガイドラインが根拠。「米国は核戦力を含むあらゆる種類の能力」を使い、日本を防衛すると明記する。だが法的拘束力はなく、安保条約には核兵器に関する記述そのものがない。
 茂木敏充外相は3月の国会で「(核禁条約に)法的な理由で入れないということではない。わが国の方針だ」と、参加を阻む法的な制約はないと認めた。

◆日米安保条約に核の記述なし

 核禁条約は、核兵器の開発・使用などを禁じるだけではない。青山学院大の阿部達也教授(国際法)は、米国が核兵器で他国の核使用を思いとどまらせる核抑止政策をとることを挙げて「日本が同盟関係にあることは、条約の禁止事項に定める使用の威嚇に対する『援助、奨励』にあたる可能性がある」と指摘する。
 阿部氏は「米国は厳然として核抑止政策をとっており、その『核の傘』の下にある日本の政策に照らせば、条約に入ることは難しいのではないか」と分析した上で、「論理的には、米国が核兵器を持たなくなれば安保条約にかかわらず、核禁条約への参加は可能だろう」と話す。
 一方、核を巡る国際情勢に詳しいNPO法人「ピースデポ」の梅林宏道特別顧問は「安保条約に核の記述がない以上、日本が核に依存しない安保政策に転換しても、日米同盟を維持しつつ核禁条約に参加できる」と政策転換を迫る。

◆「橋渡し役」問われる貢献

 「(発効後の)締約国会議には、オブザーバーとして政府に参加してもらいたい」。50カ国・地域の批准が迫る21日、公明党の山口那津男代表は、茂木氏との面会で迫った。日本が核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するなら、せめて議論の場にはいるような具体的な貢献が必要だという危機感の表れだ。
 非政府組織(NGO)「核廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の川崎あきら国際運営委員は25日の記者会見で「日本は、国際社会が違法とした核兵器を正当だと言っている。そのことを認めるわけにはいかない」と厳しく批判した。

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