五輪コロナ対策、事前キャンプ地「丸投げしないで」 ルール、運用、費用…自治体任せに悲鳴

2020年10月26日 05時50分
 来夏の東京五輪・パラリンピックで外国選手団の事前キャンプを受け入れる全国の自治体に対し、政府は週内にも、新型コロナウイルス感染症対策の指針を示す。検査や治療、移動の注意点などを盛り込むが、具体的な運用やルールは自治体に委ねる上、誰が経費を負担するかは明示しない見通しだ。自治体側から「丸投げしないで」と悲鳴が上がる。(原田遼)

◆「巨額の検査費用、国は支援を」

 「検査費用だけで巨額になる。国に支援してもらわないと」。こう頭を抱えるのは陸上、女子サッカーなどの英国代表を受け入れる川崎市の担当者だ。
 受け入れは数十人程度の自治体が多いが、同市の場合は選手・スタッフで約300人に上る。その全員にPCR検査をすると、1回3万円として計900万円。練習をサポートする市側の職員・ボランティア約300人も検査対象に広げると、2000万円近くかかる。
 外国選手は出入国時に検査を受けるが、国は事前キャンプ地での検査を検討している。指針では、陽性者が出た際の隔離所・病床の確保、選手の外出制限のルール作り、移動のための専用車両の確保、宿舎や更衣室の消毒など、さまざまな対策を自治体に求めるとみられる。
 自治体側は国に経費の支援を要望しているものの、橋本聖子五輪相は「今後検討する」と述べるのみだ。

◆選手送迎バス、密避けるには?

 空港や宿舎、練習場などに選手を送迎する専用バスも難題。川崎市の担当者は「車内の密を避けようと思えばより多くの台数が必要。1台に何人なら安全か、国が基準を示してほしい」。
 バスの借り上げ費用の負担は英国側と交渉するが、現地はコロナ再流行で都市部の飲食店の深夜営業が禁止に。「今後ロックダウンになれば、交渉が滞るのでは」と心配が尽きない。
 地方では、医療機関が乏しい自治体も多い。ラグビーのカナダ代表などを受け入れる盛岡市は「岩手は感染者が少なく、民間機関も含めた検査態勢が十分ではない。コロナ外来も少ない」と懸念する。

◆交流目的だったのに行事中止

 そもそも、選手団の受け入れはスポーツ振興や国際交流が目的だった。バレーボールなどのブラジル代表のキャンプ地、東京都大田区は市民への練習公開や交流行事を想定していたが、感染防止のため満足に行えないとなれば、何のための受け入れか分からなくなってしまう。担当者は「安全な範囲でできるだけ交流をしたいが、相手は大会前で神経質になるはず。握手や記念撮影ができるだろうか」と不安がる。

 事前キャンプ地 内閣官房によると、外国人選手団を受け入れるのは全国の100以上の市区町村。自治体が各国のオリンピック委員会や競技団体と契約し、選手団が来日してから選手村に入るまでの1~2週間、滞在するケースが多い。

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