「1発の核兵器もない地球に」 被団協・田中代表委員、決意新た

2020年10月25日 22時54分
 核兵器禁止条約が発効に必要な50カ国・地域の批准に達したことについて、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の田中熙巳てるみさん(88)=埼玉県新座市=は「待ちわびた瞬間だ」と喜んだ。

日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員

 田中さんは25日朝、核廃絶に取り組む非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」からのメールで、50カ国・地域に達したことを知った。「採択から3年もかかるとは思わなかったが、ようやくここまで来られて大変うれしい」
 13歳のころ、長崎市で被爆。自身は幸いにして無事だったが、親族5人を失った。1970年代から被団協の運動にかかわり、計20年間、事務局長を務めながら国内外で被爆の実相を伝え続けてきた。
 前文で「ヒバクシャの受け入れがたい苦しみに留意する」と明記した核兵器禁止条約への思いも強い。2016年には、全ての国に核兵器廃絶を求めるヒバクシャ国際署名をスタート。17年に国連で核兵器禁止条約が採択されると、批准を求める内容に変更し、現在までに1260万筆を集めた。18年には、長崎市の平和式典に被爆者代表として登壇し、「被爆者が目の黒いうちに見届けたいと願った核兵器廃絶への道筋が見えてきた」と条約の意義を語った。
 条約は「核なき世界」の実現を求める被爆者の願いと重なるが、日本政府は背を向け続けている。「唯一の戦争被爆国である日本は大きな責任を負っている。今後は、核兵器で安全を保とうとする日本の政策を変えさせるように声を上げなくては」と話す。
 被爆者の平均年齢は83歳を超え、被爆証言などの活動は先細りしつつある。「私たち被爆者が求めているのは、地球上に1発も核兵器がないということ。条約が発効することは大きな一歩ではあるが、さらに発展させていかなくてはいけない」と語った。(木谷孝洋)

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