核兵器禁止条約が発効へ 批准数「50」に到達、不参加日本の姿勢問われる

2020年10月25日 22時53分

核兵器禁止条約の批准50カ国・地域到達を祝う集会に集まった人たち。後方は原爆ドーム=25日午後、広島市で

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】国連は24日(日本時間25日)、核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約が、発効に必要な50カ国・地域の批准に達したと発表した。90日後の来年1月22日、史上初めて核兵器を非人道的で違法とする国際条約が発効する。不参加の日本は唯一の戦争被爆国として核廃絶に向けた姿勢を厳しく問われそうだ。
 24日に批准したのは中央アメリカのホンジュラス。国連は「批准した国を称賛し、交渉の促進に尽力してきた市民の活動に敬意を表する。条約発効は核爆発と核実験の生存者への賛辞となる」とするグテレス事務総長の談話を出した。
 同条約の国連採択に貢献し、2017年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のフィン事務局長は、「多くの人が不可能だと言ったことを達成した。核軍縮の新たな一章だ」と称賛した。23日にジャマイカとナウルが批准し、批准数は49となっていた。
 条約発効が確実となったことで、核非保有の条約参加国と「核軍縮は段階的に進めるべきだ」などとして不参加を貫く米英仏中ロの核保有5大国との分断が深まる恐れもある。米の核抑止力に依存する日本なども保有国の主張に事実上、同調している。新型コロナウイルスの影響で来年に延期され、大半の国連加盟国が核軍縮問題を話し合う核拡散防止条約(NPT)再検討会議の議論に影響することも必至だ。
 核兵器禁止条約は非保有国が提案し、17年7月に122カ国の賛成で国連採択された。核兵器の保有や使用のほか、開発や実験、生産、備蓄も禁じる。禁止事項には、核抑止力を意味する「使用または使用するとの威嚇」も含まれる。「核兵器使用の被害者の受け入れがたい苦痛に留意する」として「hibakusha(被爆者)」にも触れている。条約を批准していない国・地域への法的拘束力はない。

◆核廃絶へ大きな一歩 日本は参加へ方針転換を

 核兵器を非合法化する初めての国際規範である核兵器禁止条約の発効決定は、核廃絶の取り組みで重要な一歩となる。米国の「核の傘」に安全保障政策を依存する日本は、条約は核保有国が不参加のため実効性に欠けると説明するが、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界の実現」を真剣に目指すなら、むしろ条約の実効性を高めるためにも、参加へと政治決断するのが筋のはずだ。
 核兵器を巡る国際的な枠組みに核拡散防止条約(NPT)がある。米英仏中ロの5カ国に核保有が認められる一方、核軍縮を進める内容だ。だが、削減はなかなか進まないどころか、むしろ小型化によって、核使用の脅威は高まっている。北朝鮮も核開発を加速させるなど、NPT体制はほころびが隠せない。核兵器禁止条約は、そのような体制に対する多くの国々の危機感が背景にある。
 日本は、米国の「核の傘」の下にあることを理由に参加を拒む。しかし、その政策は、国際社会が「違法」とした核使用を米国に促すものだと批判され続けてきた。日本は核兵器保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するが、「核の傘」との矛盾は、今回の発効決定でより鮮明になる。
 広島、長崎の被爆から75年の節目に発効が決まるまでには「核なき世界を」と国内外で訴えてきた多くの被爆者の尽力があった。高齢化が進む被爆者の思いに日本がこたえる道は、条約参加以外にはない。(関口克己)

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