核大国や日本不参加、条約参加の中小国と分断解消、実効性が課題<核兵器禁止条約>

2020年10月25日 22時54分

2017年7月7日、ニューヨークの国連本部で「核兵器禁止条約」が採択され、喜ぶ関係者ら(AP=共同)

 【ニューヨーク=杉藤貴浩、モスクワ=小柳悠志、北京=中沢穣】核兵器の開発から使用までを全面的に禁じる核兵器禁止条約が24日、50カ国・地域の批准を集め、発効条件を満たした。国際社会の悲願である「核なき世界」への重要な一歩となるが、米ロ中などの核保有大国や核の傘の下にある日本は不参加のまま。条約の中心となっている中小国との分断を埋め、実効性を高めることが課題となる。
 条約は核兵器の非人道性と違法性を明文化し、「廃絶こそ核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法」と訴える画期的な内容を持つ。アジアやアフリカ、中南米の非保有国を中心に賛同が広がり、採択から3年あまりで発効が決まった。
 24日は世界平和をうたう国連憲章発効75周年の記念日。1945年の米国による広島・長崎への原爆投下から節目の年でもあり、非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、批准数到達を祝い「初の核兵器使用から75年、その絶対的な禁止が強化される」との談話を発表した。
 だが、発効後の実効性や影響力は不透明だ。
 世界最大級の核戦力を持つ米国は、トランプ政権下で核戦力を重視する政策に転換。条約については、国連で軍縮大使が「核不拡散や核軍縮の害悪になり得る」と強く批判するなど、核兵器の急な廃絶が地域の安全保障バランスを崩しかねないとの立場を貫く。最近では複数の条約批准国に批准を取り下げるよう求めるなど反対姿勢を強めるばかりだ。
 ロシアもコサチョフ上院外交委員長が25日、「(世界にとって)肯定的な一歩となり得るが、現段階では(核禁止が)実現できる状況にはない」とロシア通信に語り、条約への参加は否定。米ロは今月、それぞれの政治的思惑から新戦略兵器削減条約(新START)の延長へ接近したように、保有国の核軍縮交渉は核兵器禁止条約とは別の枠組みで動くのが現実だ。
 中国も国連代表部が24日、「核兵器なき世界に向けてたゆまぬ努力を続ける」とツイートしたが、核弾頭の保有数が圧倒的に多い米ロに核削減を求める一方、自国の核削減には応じない姿勢を続ける。
 核保有国だけでなく、米国の核抑止力に頼る日韓や北大西洋条約機構(NATO)の国々も不参加で、参加国がどこまで増えるかは未知数。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では、参加国が核保有国の核抑止力の論理にどこまで圧力をかけられるかが焦点となる。

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